JA西日本くみあい飼料株式会社
衝撃箇所を簡単、迅速に特定 ロボエッグ®で破卵率改善

2023.07

※ロボエッグ®は株式会社TOMTENの登録商標です

 JA全農とくみあい飼料は、2015年以降、卵型の衝撃計測機器「ロボエッグ ®」を導入し、採卵鶏農家の経営改善に貢献している。農場からGPセンターまでの工程で、衝撃が大きく卵が割れるリスクがある箇所を特定し、改善を提案するサービスを無料で提供している。鶏卵相場が高い今、破卵率の低下は農家手取りの向上に直結することもあり、ニーズが高まっている。
 ロボエッグ ®は、卵とほぼ同じ重さ、大きさ、形で、卵と同じように扱えるのが特徴。3つの加速度センサーが内蔵されており、機器を調べたいライン上に流すことで、衝撃の有無や強さの度合いが手に取るように把握できる。
 計測データはタブレットにリアルタイムで表示でき、衝撃度が特定の値を超えると、破卵の可能性が高まる。衝撃値と破卵率の関係性についても全農の飼料畜産研究所での分析結果を活用している。ロボエッグ ®は、ラインに流すだけなので、調査に時間がかからないことも大きなメリットの一つだ。

卵と同じ大きさのロボエッグ®︎
衝撃度が高まると破卵リスクも高まる
ロボエッグ®︎概要

開発:カナダのマジテック社
国内販売代理店:株式会社TOMTEN

ロボエッグ®︎の特徴
  • 卵とほぼ同じ重さ、大きさ、形
  • 取り扱いが簡単で、衝撃度の測定がすぐにできる
  • タブレットでリアルタイムに衝撃度が表示される

JA西日本くみあい飼料株式会社

倉敷工場
  • 本社:兵庫県神戸市中央区浜辺通5丁目1-14
  • 設立年月日:昭和43年7月
  • エリア:近畿・中国・四国の2府13県
  • 支店:近畿(兵庫)・中国(岡山)・四国(香川)の3支店と、京滋営業所(京都)・近江事務所(滋賀)・山陰営業所(島根)・西中国営業所(広島)・西四国営業所(愛媛)
  • 工場:倉敷(岡山)・宇和島(愛媛)・小松島(徳島)
  • 従業員数:230人

高所や暗い場所も簡単測定 破卵率1・5%改善

集卵室で衝撃度の強い箇所を調べる大塚場長(左)と細矢さん
ケージ前でコンベアのつながり部分の衝撃などを確認
卵卵中野ファームの従業員と関係者の皆さん

 JAえひめフレッシュフーズ株式会社(本社:愛媛県伊予郡松前町)も、ロボエッグ ®で破卵リスクのある箇所を特定し、収益の改善に成功した。もともと、破卵率の改善に向けいろいろと試行錯誤を繰り返していたが、JA西日本くみあい飼料㈱から提案を受け、ロボエッグ ®を活用。2農場ともに破卵率が1・5%程度改善した。
 同社は、松山市と宇和島市の2カ所に直営の採卵農場を持ち、契約指定農場を含めると県内消費量の4割ほど(総羽数約70万羽)の鶏卵生産を担っている。松山市にある「卵卵(らんらん)中野ファーム」は8万羽、宇和島市にある「来第一農場」では10万羽を飼養する。
 これまで複数回にわたり、ロボエッグ ®を用いた破卵箇所調査をJA西日本くみあい飼料に依頼した。2023年2月に卵卵中野ファームの集卵室で実施した計測では、コンベアのつながり部分や、卵の向きをそろえるための段差に設けたクッション材などが劣化し、卵に衝撃を与えていることが判明。部品を交換して調整したところ、破卵率が1・67%減少した。
 大塚雄司場長はロボエッグ ®での衝撃度検査を高く評価し、「これまで確認が難しかった高所や暗い場所も短時間で確認でき、メンテナンスの省力化にもつながっています」と太鼓判を押す。更に集卵時の計測では、卵同士が衝突する頻度や衝撃度が把握でき、ライン上の適切な数が導き出せるという。
 一般的に10万羽規模の農場で破卵率を1%改善すると、年間で200万円超の収益改善が見込まれるとされている。同社生産部の大澤俊宏部長は「鶏卵相場が高い今、格外卵を減らすことはますます重要になっています」とした上で、「私たちの仕事は鶏が産んだ卵を大切に扱い、無事に出荷すること。そのためにも格外卵の中で破卵が占める割合を少しでも減らしていく責任があります」と話す。
 ロボエッグ ®を使ったサービスを担当する、JA西日本くみあい飼料の細矢翔一さんは「これからもロボエッグ ®を活用し、破卵率を抑えるための改善策を生産者とともに考えていきたい」と意気込む。

会社紹介  JAえひめフレッシュフーズ株式会社

  • 所在地:愛媛県伊予郡松前町大字徳丸字五屋敷771-18
  • 鶏卵販売量:月約1,000t(総羽数約70万羽)
  • 独自ブランド:「フレッシュ卵卵(らんらん)」
  • 特徴:本社に隣接するGPセンターでは県内シェア4割の鶏卵を取り扱い、生産から流通まで一貫した管理体制を誇っている。採卵農場2カ所の他、松山市の山間部に直営の育成農場を持つ。育成農場は2017年に四国で初めての農場HACCP認証を取得し、2つの採卵農場も同認証を取得済。

独自ブランド「フレッシュ卵卵」のロゴ

左:本社と隣接するGPセンター、右:卵卵中野ファーム

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