全農畜産総合対策部・3月まとめ
マーケット情勢
2024.04
各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より
豚肉
1月の全国豚と畜頭数は1,414千頭(前年比102.2%)、2月(速報値)は1,345千頭(同102.6%)と前年を上回る見込み。1月を地域別に見ると多くの地域で上回ったが、中四国が前年並み、北海道、北陸甲信越で下回った。
1月の輸入通関実績は、豚肉全体で72.1千t(前年比96.2%、前月比106.4%)と前年を下回った。内訳は、チルドが34.7千t(同100.3%、同112.3%)、フローズンは37.4千t(同92.8%、同101.5%)となった。国別で見ると、チルドではカナダ、メキシコが増加し、フローズンでは米国、チリが増加し、デンマーク、カナダが減少した。
総務省発表の1月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,823g(前年比97.4%)、支出金額が2,866円(同98%)となり、購入量、金額ともに前年を下回った(2019年度比:購入量 97.4%、金額 110.6%)。
2月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、594円/kg(前年比101%)と前年を上回った。鍋物需要がふるわず需要は伸び悩んだものの、関東地区の降雪による出荷乱れや寒暖差による成育遅れなどから需給が引き締まり強含みで推移した。3月の肉豚生産出荷予測では、前年を下回る見込みであるものの、2月の成育遅れ解消による出荷頭数増加、月後半の学校給食の休止等により需給が緩むことが予想されるため、弱含みでの推移を見込む。
【令和6年4月の相場予想】※東京市場 上物・税込560円
牛肉
1月の成牛と畜頭数は、85.2千頭と前年を上回った(前年比101.7%)。内訳は、和牛:39.3千頭(同109.1%)、交雑牛:20.0千頭(同99.8%)、乳牛去勢:10.2千頭(同97.4%)。
輸入通関実績は、全体で43.3千tと前年を上回った(前年比108.4%、前月比119.8%)。チルドが17.0千t(同105.5%、同112.8%)、フローズンが26.3千t(同110.3%、同124.8%)。国別では、チルドは豪州が増加したが、その他の国は減少した。フローズンは豪州、ニュージーランド、米国が増加した。
総務省発表の1月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯当たり牛肉購入量は452g(前年比92.1%)、支出金額が1,752円(同98.3%)となり、購入量、支出金額ともに前年を下回った(※2019年度同月比:購入量 82.5%、金額 96.8%)。
2月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A5が2,578円(前年比102.7%)、A4が2,255円(同103.0%)、交雑去勢B3が1,545円(同112.8%)、乳牛去勢B2が845円(同92.6%)であった。
3月は、和牛・交雑種とも横ばいに推移する見通し。和牛から交雑種への需要移行が続く見込みだが、コロナ5類移行後初の卒業式や送迎会時期となり和牛需要も高まると予想する。交雑種は弱含みで推移すると見込まれる。
【令和6年4月の相場予想】※東京市場 税込
◎和牛去勢A4:2,300円 ◎交雑去勢B3:1,600円 ◎乳牛去勢B2:850円
鶏卵
1月の全国の餌付け羽数は7,432千羽(前年比93.8%)で前年を下回った。東西別の前年比は、東日本95.3%、西日本91.9%と前年を下回った。地域別に見ると、北海道エリア101.5%、北陸エリアで177.3%と大幅に増加したものの、東北エリアでは95.4%、関東エリアでは82.5%と前年を下回る推移となった。
1月の鶏卵の1人当たりの家計消費量は898g(同100%)。コロナ禍前の令和元年比では101.9%であった。昨シーズンと比べて鳥インフルエンザの発生が限定的である点、鶏卵相場が前年を下回っている点が引き続き消費の上向きに起因していると考えられる。今後は、気温の上昇に伴う冬季需要の低下により、テーブルエッグの引き合いは一定程度落ち着くことが予想される。
2月の東京相場の月間平均は、Mサイズ190円(前年比-137円、前月比+10円)。需要面では、量販筋では相場価格商品を筆頭に発注数量増の傾向が続いている。問屋筋では、サイズによっては瞬間的にタイトとなる局面があり、一部スポット取引も見られたが、定期中心の取引となった。一方、加工筋では、販売は軟調な状態が継続しているものの、在庫消化が進んでいる。
今後については、供給面で春ごろまで生産復帰が継続する見込みである一方、一定期間生産調整の影響が継続すると見られ、産地在庫はややタイト目に推移していくと考えられる。また、需要面では春に向けた行楽需要の高まりや加工筋のメニュー改変等による販売好転の可能性に期待が寄せられる。こうした状況により、今後の相場展開は強含みの展開と予想する。
鶏肉
生産・処理動向調査によると1月の推計実績は処理羽数60,922千羽(前年比101.4%)、処理重量185.3千t(同101.6%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は0.4%下方修正、処理重量は0.7%上方修正された。処理重量ベースで前月予測・前年実績以上の成績となり、育成は順調であったことがうかがえる。
財務省発表の貿易統計によると、1月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+3.7千tの54.7千tと上回った。国別ではブラジルが前月+7.5千tの41.3千tでタイが-3.2千tの12.9千tとなった。
1月の推定期末在庫では、国産31.2千t(前年比127.5%・前月差-2.4千t)、輸入品125.9千t(同100.2%・同+10.2千t)と合計で157.0千t(同104.7%・同+7.8千t)となった。
2月の月平均相場は、もも肉682円/kg(前月差-19円)・むね肉369円/kg(同-8円)正肉合計で1,051円/2kgと前月を27円下回り、前年同月を163円下回った。もも肉は月初693円、月末は673円となり、前年の相場を下回った。
生産においては、前年に比べ鳥インフルエンザ等の発生も抑えられており、比較的順調に推移している。3月の生産量は工場稼働日数の減少により前年を下回る計画である。寒暖差の影響により増体悪化も懸念されるため、生産は若干減少すると考える。暖冬の影響で鍋商材の売れが鈍く、もも肉は量販店の特売用として輸入解凍品を販売している店舗も目立つ。むね肉は価格訴求品としての引き合いは強いが、冷凍品が年度末に向けて在庫消化の動きもあることから価格は若干下落基調だ。以上のことから、3月のもも肉相場は下げの月平均660円、むね肉相場はもちあいの月平均370円と予測する。
【令和6年4月の相場予想】 ◎もも肉:650円 ◎むね肉:370円
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