マーケット情勢(全農畜産総合対策部・6月まとめ)

2024.07

各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より

豚肉

 4月の全国豚と畜頭数は1,409千頭(前年比106.2%)。全地域で前年を上回った。5月(速報値)は1,366千頭(同100.0%)と見込む。
 4月の輸入通関実績は、豚肉全体で98.8千t(前年比90.1%、前月比132.9%)と前年を下回った。内訳は、チルドが33.7千t(同101.1%、同99.1%)、フローズンは65.1千t(同85.3%、同161.3%)となった。国別で見ると、チルドではカナダ、メキシコが増えた。フローズンではスペイン、メキシコ、デンマークが減った。
 総務省発表の4月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,791g(前年比95.3%)、支出金額が2,695円(同95.7%)となった。
 5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、714円/kg(前年比111.0%)となった。GW需要の反動から需要が減退し弱含みで推移したが、中旬以降は昨夏の猛暑の影響で出荷頭数が減り需給が引き締まり上昇した。東北や関東での豚熱発生で需給がひっ迫した影響もあり、月末にかけ一時的に高騰した。
 6月は、輸入チルド豚肉の輸入量が低調であること、国内出荷頭数が前年を下回る見込みを受け、需給が引き締まり強含みの見通し。一方、急激な相場高騰が継続すると需要が移行する可能性があり、その際は需給が緩み相場は弱含みで推移する可能性がある。

【令和6年7月の相場予想】※東京市場 上物・税込700円

牛肉

 4月の成牛と畜頭数は、96.5千頭(前年比103.6%)と前年を上回った。内訳は、和牛が46.6千頭(前年比107.6%)、交雑牛が22.3千頭(同94.4%)、乳牛去勢が11.3千頭(同100.4%)となった。
 4月の輸入通関実績は、全体で63.2千tと前年を下回った(前年比93.1%、前月比164.8%)。チルドが18.2千t(同86.2%、同100.1%)、フローズンが45.0千t(同96.2%、同223.1%)だった。国別では、チルドはニュージーランドが増えたが、他の主要国は減った。フローズンは米国、カナダ、メキシコが減った。
 総務省発表の4月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は450g(前年比92.8%)、支出金額が1,602円(同91.1%)となり、購入量、支出金額ともに前年を下回った。
 5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A5が2,468円(前年比96.4%)、A4が2,122円(同94.9%)、交雑去勢B3が1,581円(同105.0%)、乳牛去勢B2が991円(同105.1%)だった。
 6月は梅雨入りで消費が減退する季節となる。和牛・交雑牛ともに弱含みの見通し。乳牛去勢牛は、輸入牛肉の高騰や輸入量の減少などから代替需要は底堅いが、消費が減退する季節となることから弱含みと見込む。

【令和6年7月の相場予想】※東京市場 税込
◎和牛去勢A4:2,100円 ◎交雑去勢B3:1,550円 ◎乳牛去勢B2:950円

鶏卵

 4月の全国の餌付け羽数は8,159千羽(前年比100.1%)と、前年をわずかに上回った。東西別の前年比は、東日本が105.1%、西日本が94.6%となった。地域別では、東北エリアが135.6%、北陸エリアが143.1%と大きく増えたが、北海道(90.2%)、関東(85.1%)の落ち込みが目立った。
 4月の鶏卵の一人当たり家計消費量は876g(同103.5%)と前年を上回った。前年を下回る鶏卵相場が続き、店頭売価も前年と比較して下がっていることが影響していると考えられる。今後は、梅雨時期に入るため季節性の消費減退が予想される。
 5月の東京相場の月間平均は、Mサイズ204円(前年比-146円、前月比-15円)。供給面において、成鶏更新・空舎延長事業の発動もあり、生産量は大玉を中心に減少傾向となっている。需要面においては、量販筋では相場単価商品を中心として底堅い推移であった。業務・外食筋では、定期中心の取引だったが、一部端玉の引き合いが見られた。加工筋では、積極的な集荷は見られていないものの、在庫が減少傾向で、回復基調となっている。
 今後について、生産調整による一時的な生産減に加え、暑さに伴うサイズの小型化や産卵率の低下が見込まれ、大玉減少傾向が進むと想定される。梅雨入り後、需要の落ち込みが懸念されるものの、生産調整による稼働羽数次第では、大玉中心に需給バランスが引き締まっていく可能性もある。今後の鶏卵相場はサイズ間調整を踏まえた上げ基調の展開と予想する。

鶏肉

 生産・処理動向調査によると4月の推計実績は処理羽数64,008千羽(前年比104.2%)、処理重量197.0千t(同104.3%)となった。前月時点の計画値通りとなり、処理重量は2.1%上方修正された。4月上旬は気温が比較的低く成績を落とす農場もあったようだが、中・下旬は気候に恵まれ増体が向上し育成率も良かったため、処理羽数、処理重量ともに前年を上回った。
 4月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から-0.7千tの52.0千t。国別ではブラジルが前月-0.9千tの34.9千tでタイが+0.6千tの16.5千tとなった。
 4月の推定期末在庫は国産35.5千t(前年比128.9%・前月差-1.4千t)、輸入品127.1千t(同106.3%・同-2.0千t)と合計で162.6千t(同110.5%・同-3.4千t)となった。
 5月の月平均相場は、モモ肉631円/kg(前月差-8円)、ムネ肉354円/kg(同-2円)、正肉合計で985円/2kgと前月を10円下回り、前年同月を197円下回った。モモ肉相場は月初637円、月末は623円となり、前年の相場を下回った。
 生産は、各産地の処理羽数増や増体向上などから、全国的に順調に推移。国内在庫量が増加傾向だが、モモ肉は量販店の特売による消化が進み、ムネ肉は輸入牛肉・輸入豚肉の価格高騰などから加工筋向けの引き合いが強まっている。
 6月は、コロナ禍が明けたことから行楽需要が高まっており、鶏肉の引き合いが強まることに期待したい。ムネ肉は消費者への価格訴求品としての引き合いが強い。6月のモモ肉相場はやや下げの月平均620円、ムネ肉相場は持ち合いの月平均350円と予測する。

【令和6年7月の相場予想】 ◎モモ肉:600円 ◎ムネ肉:360円

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