冬場を迎えるにあたって
豚舎火災を防ぐ!本格的な冬を迎える前にスタッフ一丸となって火災対策に取り組みましょう!

2024.10

豚舎での火災は、大きな喪失感を伴う甚大な経済的被害を引き起こします。大変痛ましいことですが、毎年のように豚舎火災が発生していることも事実です。さらに空気の乾燥する冬場は、リスクがより高まると考えられます。リスクを完全になくすことはできませんが、今回は火災を防ぐための基本的な対策を紹介します。

養豚研究室

過去の火災発生事例

 2021年から24年に報道された、豚舎における火災発生事例を表1にまとめました。いずれのケースも被害が甚大であることが確認できます。また季節と地域を問わず発生していますが、10月から3月にかけての半年間において特に多いようです。これは、暖房器具を使用する季節であることに加え、空気が乾燥していることが影響していると考えられます。そのため、これからの季節は火災対策により一層力を入れる必要があると言えます。

主な火災発生要因と対策

 主な火災発生要因とその対策ポイントを下記および表2にまとめました。

❶暖房器具

 暖房器具(ヒーター)は主要な出火要因の一つです。ガスブルーダー、コルツヒーターをはじめとした各種ヒーターの使用に際しては、可燃物への引火を防ぐことが大切です。特に、昨冬以来使用していなかったヒーターなどは、機器の状態をよく確認してから使用しましょう(写真1)。

写真1 埃をかぶった暖房器具

❷電気配線

 電気系統の配線にも注意が必要です。前述の火災発生事例の中には漏電やトラッキング現象により出火したと考えられるケースもありました。普段の作業で見慣れてしまい問題点に気付きにくい可能性がありますので、改めて表2のポイントを見直してみましょう。いずれも漏電とトラッキング現象を避けることが重要です。また配線を屋根裏など普段目につきにくいところに通している場合、気付かないうちに配線が劣化している可能性があります。月に1度程度は点検、確認することがベターです。

※トラッキング現象(写真2、3)
 コンセントとプラグの間に塵埃(じんあい)がたまり、そこに湿気が加わることで電極間がショートし発熱・発火する現象。漏電とは異なるため漏電ブレーカーは作動しない。

写真2 外れかかったプラグ
写真3 目につきにくい位置にある蜘蛛の巣が張った配線

❸ネズミによる配線への食害

 ネズミによる配線への食害は漏電につながり、火災発生の要因となることがあります。特に冬場の豚舎は暖かく、餌も豊富にあるためネズミの侵入が増えることが考えられます。

 また当然ネズミは衛生面においても好ましくありません。改めて、表2記載の項目をはじめとした対策を徹底しましょう。また、ネズミ対策については『ちくさんクラブ21』22年10月号で紹介しているので、こちらも参考にしてください。

教えて!中研(養豚)豚舎内におけるネズミ対策

『ちくさんクラブ21』22年10月号
豚舎内におけるネズミ対策

設備による対策

 火災対策として比較的導入しやすいと考えられる設備を表3に記載しました。可能な範囲で導入を検討してください。

 以上、豚舎火災の基本的対策を紹介しました。最も大切なことは、スタッフ一人一人が防災意識を高めて業務にあたることだと思います。本格的な冬を迎える前に、スタッフ一丸となって火災対策に取り組みましょう!

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