マーケット情勢(全農畜産総合対策部・9月まとめ)

2024.10

各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より

豚肉

 7月の全国豚と畜頭数は、1,311千頭(前年比105.1%)。地域別では、東北地方以外で大きく増えた。 7月の輸入通関実績は、豚肉全体で86.3千t(前年比115.1%、前月比105.6%)。チルドが27.8千t(同91.9%、同92.1%)、フローズンは58.4千t(同130.9%、同113.5%)となった。国別は、チルドではメキシコが増えた。フローズンではスペイン、米国、デンマーク、カナダが増えた。 総務省発表の7月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,702g(前年比96.4%)、支出金額が2,724円(同101.0%)となった。

 8月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;8月31日時点)は、764円/kg(前年比107.6%)と前年を上回った。前月に続き酷暑の影響から肉豚の成育不良で出荷頭数が伸び悩んだことに加え、地震や台風への備蓄需要で月初から中旬にかけて800円/kg前後で推移した。中旬以降は、需要が落ち着いたことに加え、東日本で酷暑が和らぎ出荷頭数が回復基調となったため需給が緩んだ。700円/kgを下回って推移した。

 9月は、学校給食の全国的な再開や3連休等での行楽需要など需要増に期待ができるが、全国的に酷暑が和らぐことで肉豚の成育が回復し出荷頭数が前月より増える見込み。需給は緩み、弱含みで推移する見通しだ。

【令和6年10月の相場予想】※東京市場 上物・税込600円

牛肉

 7月の成牛と畜頭数は、100.1千頭(前年比105.0%)。和牛が51.1千頭(同111.4%)、交雑牛が22.6千頭(同98.3%)、乳牛去勢が11.3千頭(同101.4%)となった。 7月の輸入通関実績は49.3千t(前年比127.5%、前月比103.8%)。チルドが18.9千t(同97.4%、同106.5%)、フローズンが30.5千t(同157.7%、同102.1%)となった。国別では、チルドはオーストラリア、ニュージーランドが増加。フローズンはオーストラリアと米国、ニュージーランド、カナダが増えた。

 総務省発表の7月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は411g(前年比86.5%)、支出金額が1,554円(同94.6%)となった。

 8月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;8月31日時点)は、和牛去勢A5が2,302円(前年比95.1%)、A4が1,977円(同97.0%)、交雑去勢B3が1,564円(同109.2%)、乳牛去勢B2が1,057円(同136.7%)だった。交雑牛は、和牛代替需要で前年を上回り、前月とほぼ同水準だった。また、乳牛去勢牛は、高騰する輸入品の代替需要が堅調で前年・前月ともに上回った。9月は、行楽需要などにより需要増が想定される。和牛は強含み、交雑牛は横ばいの推移を見込む。乳牛去勢牛は、輸入品の代替需要は継続するが限定的なため、弱含みの見通し。

【令和6年10月の相場予想】※東京市場 税込
◎和牛去勢A4:2,000円 ◎交雑去勢B3:1,550円 ◎乳牛去勢B2:1,000円

鶏卵

 7月の全国の餌付け羽数は、8,414千羽(前年比95.1%)となり、東日本は前年比93.1%と3カ月連続、西日本も前年比97.5%と7カ月連続で前年を下回った。

 7月の鶏卵の一人当たり家計消費量は837g(同102.9%)と、8カ月連続で前年を上回った。2022年の水準までは回復していないが家計消費の持ち直しに期待したい。

 8月の東京相場の月間平均はMサイズ217円/kg(前年比-65円/kg、前月比+17円/kg)となった。供給面においては、成鶏更新・空舎延長事業(2024年5月13日から6月24日まで発動)による生産調整、猛暑による産卵率と個卵重の低下などの影響を受け、生産量および大玉の減少傾向が継続している。

 需要面においては、量販筋ではお盆と台風特需後も定番の数量が増加傾向にある。業務・外食筋では月見プロモーションに向けて中玉の引き合いが強まっている。加工筋では、ボイル用小玉需要から堅調な推移となっている。大玉から小玉にかけて需要が供給を上回っていることから、8月20日、23日、27日、30日、9月3日、10日に上伸の展開となった。

 今後について、供給面は9月下旬ごろに生産調整からの復帰が見込まれるものの、残暑の影響により復帰鶏群の生み出しの遅れや産卵率の低下が続くと考えられる。需要面は、秋冬メニュー開始といった需要の高まりが期待される。需要に対して供給不足が継続する可能性が高く、今後の鶏卵相場は上げ基調またはサイズ間調整で推移することが予想される。

鶏肉

 生産・処理動向調査によると7月の推計実績は処理羽数60,828千羽(前年比103.8%)、処理重量182.6千t(同104.2%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は0.1%の下方修正となり、処理重量は1.2%上方修正された。重量ベースでは生鳥の増体性能や飼料の改良が進んだことによる餌食いの向上により処理重量が増加したと考える。

 7月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+2.4千tの51.8千t、国別ではブラジルが前月+0.3千tの35.5千t、タイが+2.0千tの15.5千tとなった。

 7月末時点推定期末在庫では国産35.5千t(前年比115.9%・前月差-1.2千t)、輸入品133.6千t(同103.1%・同+0.5千t)と、合計で169.1千t(同105.5%・同-0.7千t)となった。

 8月の月平均相場は、モモ肉613円/kg(前月差±0円)・ムネ肉359円/kg(同+4円)。正肉合計では972円/2kgと前月を4円上回り、前年同月を85円下回った。モモ肉相場は月初612円、月末は621円となり、前年の相場を下回った。

 生産は、各産地の処理羽数増や増体向上等から、全国的に順調に推移した。モモ肉は年末用の確保があるものの生鮮で売り切る動きが強く、余剰在庫を持たないように販促をかけているようだ。ムネ肉は輸入食品全般の価格高騰等から加工筋向けの引き合いが強まっており、量販店での動きも活発化している。

 9月は、豚肉から鶏肉への需要シフトが進む予想に加え、学校給食が再開することから順調に推移する見込み。モモ肉相場はやや上げの月平均615円、ムネ肉相場は若干上げの月平均365円と予測。例年通り年末に向け鶏肉相場は上昇傾向に推移していくと考える。

【令和6年10月の相場予想】 ◎モモ肉:625円 ◎ムネ肉:370円

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