養鶏生産者、関係者の皆様へ
高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスは、農場のすぐ近くまで来ている可能性が十分にあります。
2024.10
農場、関連施設にウイルスを持ち込まない 広げない 持ち出さない関係者一丸となって防疫対策の徹底に取り組みましょう。
防疫徹底の重要性
昨シーズン農場で発生した高病原性鳥インフルエンザ(以下、鳥インフルエンザ)は10県11事例で、その前年の2022-23シーズンと比較すると、少ない発生件数でした。しかし、野鳥での鳥インフルエンザの発生は156事例と、全国的にウイルスが蔓延していたことが明らかになっています。関係者全体で取り組んだ防疫の徹底が、農場での鳥インフルエンザ発生を抑えこんだ可能性が高く、改めて防疫徹底の重要性が示されました。
2024-25シーズンも10月以降、渡り鳥とともに鳥インフルエンザウイルスが国内に侵入すると考えられます。
ウイルスの鶏舎への侵入機会を減らすことが、発生リスクを下げることにつながります。
鶏舎を家畜防疫の最後の砦と捉えて、防疫徹底によりウイルスの侵入を防ぎましょう。
鶏舎への野生動物を介した侵入防止
鶏舎に野生動物が侵入していませんか? 隙間は早急に塞いでリスクの侵入を防ぎましょう。
確実性の高い防疫対策の実施
少しの工夫で対策可能な場所もあります。分かりやすく解説した『飼養衛生管理基準ガイドブック(鶏その他家きん編)』も参考にしてください。
効果的な防疫資材の利用(POINT pH12以上)
逆性石けんのアルカリ化で消毒効果の強化(踏込み槽など)
フィーネナチュラルFNPパウダー
水に溶解するとpH12以上の強アルカリ溶液となり、高い消毒作用を持ちます。さらに踏み込み消毒時などに、逆性石けんへ添加することで、低温下、有機物混入時もpHの低下を抑え、消毒効果を持続させます。
目視での消石灰の効果確認
リトアクア
散布した消石灰が消毒効果の高いpH12以上を維持できているのか目視し、より効果的な石灰散布が実施できます。
渡り鳥の飛来状況可視化の取り組み
鳥インフルエンザ対策において、国内に鳥インフルエンザウイルスを持ち込む可能性のある渡り鳥の飛来状況を把握しておくことは非常に重要です。毎年、秋から春にかけて、環境省が全国52カ所の観測ポイントの渡り鳥飛来データをホームページ上で公開しています。
全農家畜衛生研究所では、このデータをもとに、いつ、どこに、どんな渡り鳥が、どれだけ飛来しているのかを地図上に記載して、地域ごとの渡り鳥の飛来状況を可視化したものを、全農が運営する畜産総合情報サイトJACCネットにて公開を始めました。昨シーズンの情報も公開していますので、これからのシーズン突入に向けて、ぜひ一度ご覧ください。なお、今シーズンの情報は、その都度更新していきます。
環境省 元データ渡り鳥の飛来状況
JACCネット 可視化した飛来状況
2023-24シーズン データの紹介(北海道の例)
北海道では23年9月下旬から美唄市の宮島沼にマガンを主とした渡り鳥の飛来が観察されました(9/30,10/20)。また同じ時期、根釧地域でもハクチョウなどの渡り鳥が飛来しています(10/20)。その後、いったん観測数は減ったものの、再度4月に渡り鳥の飛来が認められました(4/20)。
鳥インフルエンザ検査優先種について
検査優先種1
●鳥インフルエンザに感受性が高く、死亡野鳥等の調査で検出しやすいと考えれられる19種(例:マガン、コハクチョウ、ヒドリガモ、オオタカ、ハヤブサ等)
検査優先種2
●さらに発見の可能性を高めることを目的とした8種(例:マガモ、オナガガモ、オオワシ、フクロウ等)
検査優先種3
●感染の広がりを把握することを目的とした鳥類(例:カルガモ、カワウ、ハシボソガラス、ハジブトガラス等)
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