第48回九州管内系統和牛枝肉共励会
宮崎県が個人、鹿児島県が団体で最高位
2025.01
第48回九州管内系統和牛枝肉共励会が9月7日、福岡県太宰府市で開かれた。九州・沖縄8県のJA系統農家が計120頭の枝肉を出品。宮崎県の乙守治雄さん(JAみやざき・都城)が最高位の金賞(農林水産大臣賞)に輝いた。団体部門は2年ぶりにJA鹿児島県経済連が優秀賞に返り咲き、努力賞はJAおきなわが獲得した。
多くの方から「九連」と呼ばれている本共励会は、和牛の肥育技術の向上および肉質改善を図ることを目的として、九州および沖縄の生産者たちが競う大会である。各県から選りすぐりの15頭を出品し、個人の部だけでなく、団体賞も設けられているのが特徴で、それぞれの部門で優勝を目指す。
全体の枝肉成績は、肉質5等級が96・7%を占めた。脂肪交雑(BMS)ナンバーの平均は11・4で昨年より0・1ポイント上がった。全120頭のうちBMSナンバーの最高点である12を90頭が獲得した。歩留基準値は平均が78・3となった。平均枝肉重量は531kgで去勢に限れば平均537kgと、昨年より5kg向上した。審査講評では、黒毛和牛の全国平均(去勢)が514・4kgであることと比較すると、「出品牛のレベルの高さが分かる」とした。
団体部門・優秀賞
JA鹿児島県経済連が最高位奪還
団体部門で最高位の優秀賞にJA鹿児島県経済連が輝いた。審査講評では「出品牛の全頭でBMSが12となり、歩留基準値も79・9と好成績。瑕疵(かし)も1頭のみに抑え、和牛産地鹿児島の技術が見られた」と評された。同経済連の担当者は「昨年、最高位を獲得できなかった悔しさがあり、粗ざしを減らす取り組みや、血統選び、牛への超音波診断などに力を入れてきた」と産地一丸となった努力を振り返った。
努力賞は昨年に引き続きJAおきなわとなった。出品牛の平均値は、BMSナンバーが10・1、バラの厚さが8・4cm、歩留基準値が76・7となった。「昨年からの成長が大きい」(審査講評)とした。
個人部門・金賞 乙守 治雄さん(宮崎)
迫力満点の仕上がり
個人賞最高位の金賞を獲得した乙守治雄さんの出品牛は、28カ月齢の去勢で父が「満天白清」、母の父が「富久竜」、母の母の父が「美穂国」。枝肉重量614・9kg、ロース芯面積が127㎠、バラの厚さ11・4cm、皮下脂肪厚2・2cm、歩留基準値83・9。審査講評では「枝肉の厚みの迫力が満点で、総合力で群を抜いていた。審査員満票で金賞となった」と絶賛された。共励会後のセリでは、枝肉が1kg1万1000円で競り落とされ、会場が沸き立った。
金賞に次ぐ銀賞1席は、鹿児島県の新地正清さん(血統:父「安亀忠」)で、「交雑が抜群の仕上がり」と講評された。銀賞2席は佐賀県の㈱佐賀牛宮崎牧場が出品した雌牛(血統:父「秀幸福」)で、「去勢顔負けの抜群の光沢」。銀賞3席は宮崎県の㈱福永牧場(血統:父「宗守富士」)で、「さしの細かさと脂肪の質の良さが際立った」と評価された。
個人賞入賞者
金賞
乙守 治雄(おともり はるお)さん
JAみやざき(都城)
出品牛は市場で見たときから腰や肩幅などの骨格が良く、「絶対に手に入れたい」と導入した牛だった。手ごたえのある仕上がりで、自信はあったが金賞を取れたことは素直に驚きとうれしさがある。餌食いも良く、枝肉を見たときはこれ以上ないほどに仕上がったと思えた。家族にも良い成果を見せられた。まずは今飼っている牛を事故なく出荷することを大切に、今後も共励会に挑戦していきたい。
銀賞1席
新地 正清 (しんち まさきよ)さん
JA鹿児島きもつき
小ざしがきれいで、ロース芯の大きな仕上がりになった。父は銀賞1席の結果を聞いて「運が良かった」と話していたが、導入時からお尻の出ている牛を飼うこだわりがある。常に観察を欠かさず、牛にストレスを与えないように育ててきた。私自身は主に繁殖を担っているが、昨年から肥育も手伝うようになり、肥育、繁殖のそれぞれの仕事の面白さを感じている。
銀賞2席
(株)佐賀牛宮崎牧場
宮崎 陽輔(みやざき ようすけ)さん
JAからつ
雌牛の味の良さを気に入って雌を専門で飼っており、今回雌で入賞できたことがうれしい。過去には父も出品し、思い入れのある大会だったので喜びもひとしお。飼養のこだわりは、市場で月齢が若めの牛を選び、牧場での飼い方に慣らしていくこと。出品牛も後躯にかけてのつくりがよく自信があった。今後は、九州で雌牛といえばうちと言われる農家を目指し、佐賀牛ブランドをさらに高めていきたい。
銀賞3席
(株)福永牧場
福永 透(ふくなが とおる)さん
JAみやざき(都城)
今回で3回目の出場。過去に父が銅賞を取っており、自身の入賞は初めてでうれしい。月齢もあるが、これしかない!と思っていた牛が評価されて良かったと感じている。飼養のこだわりは、牛の状態を観察して、添加剤を使うより粗飼料をしっかり与えて腹づくりをしていくこと。日中に3時間は消化をする時間を設けて、牛がゆったりと休むことができるよう時間を取っている。
団体賞入賞
団体優秀賞
JA鹿児島県経済連
柚木 弘文(ゆのき ひろふみ) 経営管理委員会会長
生産者が日ごろから愛情をこめて牛を飼養している結果が出てうれしく思う。今回の団体優秀賞で、大会史上、通算最多の受賞となった。情報交換なども進め、県が一丸となって取り組めた。この団体賞獲得が農家の誇りになればと思う。さらに、最高位の受賞を生かして鹿児島黒牛の認知度をさらに消費者に広め、有利な販売ができるように取り組みが必要だと考えている。
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