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輸送ストレスを最小限に抑える「はつらつモウラック」の効果検証
2025.01
輸送ストレスを最小限に抑える「はつらつモウラック」の効果検証
育成牛は市場へ輸送され、セリを経て肥育農家の牧場へと向かいます。その際、輸送に伴うストレスが体重減少やその後の増体減少につながることが知られています。つまり輸送ストレスは素牛価格や肥育成績にも影響を及ぼす可能性があるのです。ここでは輸送ストレス低減に関する研究と、その成果により開発された飼料である「はつらつモウラック」を実際に使用した輸送試験の結果を紹介します。
笠間乳肉牛研究室
輸送ストレス軽減研究
輸送は育成牛に体重の減少、代謝の変化および免疫機能の低下を引き起こすことが知られており、輸送ストレスを最小限に抑えることで体重減少を抑制し、肥育の立ち上がりをスムーズにすることができると考えられます。
1.長距離輸送ストレス低減試験
長距離輸送は、肉用育成牛の主生産地である北海道や九州地方から、本州の肥育農家に導入される際などに生じます。代謝プロファイルテスト(MPT)により、輸送によって不足することが考えられたビタミンを補給することで、長距離輸送による悪影響を低減できるかどうか調べました。
試験方法
黒毛和種去勢牛10頭(約8.8カ月齢)を鹿児島曽於市場から栃木県内の農場まで、約1,400km・2日間の行程で陸送しました。10頭を2つのグループに分け、一方には輸送の前日から1週間後までビタミンを補給し、輸送2日前から30日後の体重変化を比較しました。
2.短距離輸送ストレス低減試験
近隣都府県の市場から素牛を導入する際には短距離輸送が生じますが、短距離であっても長距離の際と同様に体重の低下を引き起こすことが知られています。MPTにより、輸送によって不足することが考えられたアミノ酸を補給することで、短距離輸送による悪影響を低減できるかどうか調べました。
試験方法
黒毛和種去勢牛8頭(約8.1カ月齢)を新潟県内の繁殖農場から栃木県内の農場まで、約300km・5時間の行程で陸送しました。8頭を2つのグループに分け、一方には輸送の前日から28日後までアミノ酸を補給し、輸送前日から28日後の体重変化を比較しました。
試験結果について
両試験の結果、上記のビタミンとアミノ酸の補給は、輸送直後の体重減少、およびその後の発育不良を軽減することが示されたことから(図1、図2)、これら添加物は輸送ストレスによる悪影響を緩和することが明らかとなりました。
はつらつモウラック給与試験
これまでの試験成果をもとに、ストレス対策として効果のあったビタミンやアミノ酸を添加した「はつらつモウラック」が発売されました。実際に出荷される育成牛に「はつらつモウラック」を給与し、体重の変化を観察した試験を紹介します。
試験方法
黒毛和種16頭(約302日齢)を通常の餌で飼育する対照区(去勢:3頭、雌:3頭)と輸送の20日前からはつらつモウラックを50g/日添加したはつらつモウラック給与区(去勢:5頭、雌:5頭)に分け、輸送前と輸送14日後に開催された市場時の体重を測定し、体重の変化を比較しました。
試験結果について
試験の結果、市場開催時の体重ははつらつモウラック給与区で大きい傾向にあり、はつらつモウラックを給与したことで輸送や新規環境による悪影響を低減することができました(図3)。
はつらつモウラックを輸送前後に給与することで、素牛価格や肥育成績の向上が期待できます。輸送ストレス対策として、はつらつモウラックをぜひご活用ください!
連絡先
はつらつモウラックの詳細は、こちらにお問い合わせください。
株式会社科学飼料研究所 動薬部
〒370-1202 群馬県高崎市宮原町3-5
電話
027-347-3223
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