14道県から和牛103頭、交雑牛28頭が出品/第44回全農肉牛枝肉共励会
2025.04

14道県から和牛103頭、交雑牛28頭が出品
JA全農は2月7日、第44回全農肉牛枝肉共励会を大阪市中央卸売市場南港市場で開いた。14道県から和牛103頭、交雑牛28頭が出品され、最優秀賞には和牛の部で㈲うしの中山(鹿児島県)、交雑牛の部で㈲緑陽肉用牛牧場(北海道)が輝いた。最優秀賞の和牛枝肉は共励会後、1kg5000円で競り落とされた。
和牛はロース芯100cm2超が続出BMSナンバー12が約8割を占める
和牛はロース部分が大きく脂肪交雑の入りに優れた枝肉が多かった。ロース芯面積の平均は88・1cm2と全国平均(69cm2)を大幅に上回り、100cm2超も22頭と出品牛の2割強に及んだ。霜降りの度合いを示すBMSナンバーは平均11・3で、満点の12が76%強を占めた。審査委員長を務めた日本食肉格付協会の小林淳二専務理事は「小ざしの入った枝肉が多く、色沢、脂肪の質ともに非常に良く、素晴らしい共励会だった」と総評した。
交雑牛は歩留まりA等級の枝肉が37%と全国平均(10%)を大幅に上回り、肉質4等級以上は全国平均(25%)をはるかに上回る85%となった。「和牛に勝るとも劣らない枝肉が多かった」(小林審査委員長)と評価された。
和牛の部 最優秀賞
(有)うしの中山(鹿児島県)
月齢28カ月の去勢牛で、枝肉重量605kg。「枝肉が厚く、前躯から後躯にかけてバランスが特に良く、肉質は小ざしで構成されて雌を思わせる美しい枝肉だ」と審査員から高い評価を得た。肉のおいしさの指標とされるオレイン酸値は約55%と高く、「光沢、粘りといった見た目の良さと、科学的な数値に違いがない」と、おいしさの視点からも高評価だった。


受賞者の声
(有)うしの中山 益田泰伸 市場流通部長
鹿児島県内の市場から素牛を導入して、肥育のみで5900頭を飼養しています。子牛の生産者に飼い方をリクエストするなど「地域一貫」で連携しながら牛を育てているので、今回の受賞は繁殖農家の期待にも応えられて本当にうれしいです。
当社が重視するのは「脂の質」です。こうじ菌や酵素を加えるなど委託配合した飼料を牛に与えています。肉にさしがどれだけ入るかという点ではなく、おいしい牛を育て続ければいつか消費者の目に留まると信じて取り組んでいます。

交雑牛の部 最優秀賞
(有)緑陽肉用牛牧場(北海道)
24カ月齢の雌牛で格付けA5等級、枝肉重量541kg。ロース芯面積86cm 2、BMSナンバー10と、和牛に勝るとも劣らない肉質だった。「和牛体形でバラ肉が厚く、光沢と締まり、きめの細かさから満場一致での受賞」(小林審査委員長)と評価された。


受賞者の声
(有)緑陽肉用牛牧場 奥秋和博 代表取締役
グループ牧場と合わせて4500頭を肥育しています。9割は雌牛で、主に十勝地方から8カ月齢で導入しています。私自身が生産者の現場を訪れて購入します。導入時に重視するのは体形で、なかでも背の高い増体系を選んでいます。
当牧場では子牛を導入して2、3カ月は、1頭ごとに餌の重量をはかりで測って個々に与え、しっかり腹づくりをしています。良い牛を育てるにはやはり血統は大きな要素ですが、血統を生かす上でも個体に合わせた管理が大切だと考えています。

第44回 全農肉牛枝肉共励会 入賞牛一覧


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