第24回全農肉牛枝肉共励会
第24回全農肉牛枝肉共励会:4年連続で宮城が名誉賞獲得

2022.08

 JA全農は7月1日、「第24回全農肉牛枝肉共励会」を東京都中央卸売市場食肉市場で開催した。和牛の高品質化が進み、ハイレベルな争いとなる中、豊かな肉量感と卓越したバランスで他の枝肉を圧倒した宮城県の佐藤昭彦さん(JAみやぎ登米)が最高位にあたる名誉賞に輝いた。最優秀賞は3部門とも栃木県の生産者が獲得した。

 本共励会には、全国17都県から和牛去勢209頭、和牛雌80頭、交雑種32頭の計321頭が出品された。歩留等級では、和牛去勢のA等級の割合が99.5%と昨年を上回り、特に歩留基準値75以上が84.2%、80以上が17.7%(37頭)と好成績を収めた。和牛雌のA等級の割合は97.5%、交雑種のB等級以上の割合は93.8%だった。品質概略は次の通り。

枝肉重量(kg)

  • 和牛去勢 576.8
  • 和牛雌 488.6
  • 交雑種 616.7

ロース面積(cm2

  • 和牛去勢 85.5
  • 和牛雌 74.0
  • 交雑種 67.2

バラの厚さ(cm)

  • 和牛去勢 9.3
  • 和牛雌 8.4
  • 交雑種 8.4

皮下脂肪の厚さ(cm)

  • 和牛去勢 2.4
  • 和牛雌 3.0
  • 交雑種 3.1

ハイレベルな戦いを評価 夏場の暑さ対策徹底を

 芳野陽一郎審査委員長(公益社団法人日本食肉格付協会専務理事)は「和牛去勢は入賞品をはじめ、枝肉重量が大きく、充実したロース芯面積で、皮下脂肪の厚さが2.4cmと歩留まりが高くなってきました。切開面における各筋肉と筋間脂肪のバランスも全体的に優れていました。和牛雌も全国平均と比べて枝肉重量が大きく、最大644kgと去勢と変わらない大きさの牛も出ました」と総評した。一方で、「和牛雌は皮下脂肪の厚さが4.0cmを超える枝肉が7.5%、3.0cm以上が47.5%と前年より増加し、筋間脂肪も厚い枝肉が目立ちました。外観・肉質的に普通の枝肉と、良い枝肉のバラツキがあると感じています。交雑種も皮下脂肪が若干厚い傾向にありましたが、全体的には脂肪交雑が適度で光沢も良く、脂肪の質に優れた枝肉が多く見られました」と講評した。また、肉色の濃い枝肉が散見されたことに触れ、夏場の温度管理を徹底することで肉色を良くし、「取引価格向上につなげましょう」と話した。

ロース芯面積150cm2 他を圧倒した名誉賞の枝肉

 全体の最高位となる名誉賞を受賞したのは和牛去勢の部に出品した、宮城県の佐藤昭彦さん(JAみやぎ登米)。枝肉重量が694kg、ロース芯面積が150.0cm2と近年稀に見る特大サイズで、このほか、「肉量感豊かで全てにおいて他を圧倒する」と審査段階から注目を集め、審査員が全員一致で名誉賞に決定した。「前躯、中躯、後躯は厚みに富み、体型バランスも特に優れていた。また、脂肪交雑も全ての筋肉に偏りなく入っていた」との高評価を得た。

名誉賞 佐藤昭彦(さとう あきひこ)さん
宮城県 JAみやぎ登米

 名誉賞を受賞し、夢を見ているようなうれしい気持ちです。受賞牛は導入時から380kgとかなり大きな子牛でした。飼養管理は他の牛と同じようにしていたので、素質が良かったのだと思います。種牛は「茂福久」、母の父が「秀菊安」、母の祖父が「忠富士」です。安福久系統の特徴が顕著だったので、「茂福久」の良いところが出たのだと思います。出荷前の生体時も今までにないような外観に育ちました。脂質の改善のため、出荷の7カ月前くらいからもち米を与えていたので、それが脂質の良さにつながったと考えています。良い牛とは本当に巡りあわせだと思います。これからも導入時にしっかりと見極めるとともに、家族と力を合わせて良い牛を育てていきたいと思っています。

最優秀賞
【和牛去勢の部】

磯野均(いその ひとし)さん
栃木県 JAなす南

受賞牛は各部位が盛り上がるほど外観が素晴らしく、自信がありました。今回の受賞は生産者が一致団結して作り上げてきたブランド「とちぎ和牛」の弾みにもなります。若い担い手たちの目標となれるように次こそは、牛飼い人生の集大成として、息子と二人三脚で名誉賞を目指します。

<審査講評>

ロース芯面積、バラともに厚みがありながら、皮下脂肪が1.9cmと非常に薄かった。歩留基準値が84.3と高く、「とちぎ和牛」らしい存在感のある枝肉。特に僧帽筋と広背筋の張りが見事だった。

最優秀賞
【和牛雌の部】

近藤美好(こんどう みよし)さん
栃木県 JAおやま

去勢のイメージが強い「とちぎ和牛」にも、いい雌牛がいることを示すことができました。飼料にこだわって徐々に給与量を上げ、じっくり手をかけて肥育し、サシと肉のキメを細かく作りあげることを心がけています。来年度の全農共励会でも良い成績が残せるように、引き続き努力していきたいと思います。

<審査講評>

大きく、良型なロース芯を中心に、肉量豊かな枝肉。脂肪交雑は小ザシ中心で満遍なく入り、肉色はBCS№3で光沢が特に優れていた。外観・肉質ともにバランスがよかった。

最優秀賞
【交雑種の部】

(株)小池畜産
小池秀一(こいけしゅういち)さん
栃木県 JAしおのや

肥育中期に餌を良く食べたことで枝肉重量672kgにまで肥育することができました。自分たちの牛肉づくりを信じ、ぶれずに行ってきたことが今回の受賞につながったと思います。息子にも、ぶれずに時代に沿った消費者の求める牛肉を作ってほしいと願っています。

<審査講評>

和牛体型の大型牛で、脂肪付着も良好で、筋間脂肪にかみ脂がなく、無駄のない体型だった。脂肪交雑も小ザシ中心で満遍なく、脂肪質も粘りに富み良好、肉の光沢にも優れていた。

第24回「全農肉牛枝肉共励会」入賞者一覧

この記事をシェアする

  • LINEで送る
  • Facebookでシェアする

おすすめ関連記事

他の記事を探す

蓄種別
テーマ別