第46回九州管内系統和牛枝肉共励会
2022.10
九州・沖縄8県のJA系統農家が肥育技術を競う第46回九州管内系統和牛枝肉共励会が9月3日、福岡県太宰府市で開かれた。個人最高賞の金賞(農林水産大臣賞)にはJA鹿児島いずみの(株)中山畜産(長島町)が輝いた。団体優秀賞はJA鹿児島県経済連が7年連続で受賞、努力賞は全農大分県本部が受賞した。
出品頭数は、黒毛和種去勢109頭、黒毛和種雌10頭、褐毛和種去勢1頭の計120頭、枝肉の平均重量は、黒毛和種去勢533.7kg、同雌476.6kgで、いずれも全国平均を上回った。歩留等級を決める測定値の平均は、去勢がロース芯面積84.6cm2、バラの厚さ9.0cm、皮下脂肪の厚さ2.3cm、歩留基準値77.7。雌がロース芯面積73.4cm2、バラの厚さ8.0cm、皮下脂肪の厚さ2.5cm、歩留基準値76.1となった。
A等級比率は去勢が100%で、全国平均96.9%を上回った。雌も100%で、全国平均の94.1%を上回った。脂肪交雑(BMS)No.の平均は、去勢が11.3で、4年連続2桁を超えた。雌は10.0だった。肉色基準(BCS)No.は去勢3.7、雌4.0でいずれも昨年を上回った。
審査委員長で公益社団法人日本食肉格付協会の芳野陽一郎専務理事は「黒毛和種去勢は、A等級が100%のパーフェクトな成績だった。歩留基準値も75以上が81.6%、80以上が20.2%(22頭)だった。肉質は褒める点しかない。BMS No.平均11.3と4年連続で2桁を超えた。雌はA等級が昨年に続き100%、飼養管理も合格点。肉質は昨年に比べ若干物足らなさを感じたが、高レベルに変わりはなかった。褐毛和種去勢は、外観・肉質とも標準的な枝肉だった。今後も更なる高みを目指し、高品質和牛の生産に取り組んでいくことを期待する」と講評した。
審査の結果、金賞(農林水産大臣賞)は鹿児島県JA鹿児島いずみの(株)中山畜産が出品した「若春」(去勢・月齢29)が輝いた。父「若百合」、母の父「安福久」、母の祖父「百合茂」。枝肉重量579.5kg、ロース芯面積113cm2、バラの厚さ10.8cmで、歩留基準値は82.1。BMS No.は最上級の12、BCS No.は3。「出品牛の中で、ずば抜けた存在感のある枝肉。脂肪交雑は細かく十分で満遍なく交雑し、美しさを呈しており、特に肉の光沢、脂肪の質に優れ、艶やかさを持っている」と評価され、審査員満票で選出された。
銀賞1席は長崎県JAながさき県央・喜々津昭さんの去勢「金太」(月齢28)、銀賞2席は佐賀県JAからつ、からつ前田畜産(株)の去勢「郷423」(月齢29)、銀賞3席は鹿児島県JA北さつま、(有)徳重和牛人工授精所の去勢「太郎」(月齢27)が選ばれた。
金賞・銀賞の受賞者の喜びの言葉
金賞
(株)中山畜産 中山正美さん JA鹿児島いずみ
金賞受賞は平成17年に続き2回目。本当に「ありがとう」といいたい。子牛は血統を基に月齢が若く、素質を見て購入しています。粗飼料をたくさん食べ、必要以上に太らない素晴らしい牛に育ってくれた。筋肉質に仕上がり、枝肉は体型通り、無駄な肉はついていない。これからも、肥育農家として、ひたむきに取り組んでいきます。
銀賞 1席
喜々津 昭さん JAながさき県央
「長崎生まれの、長崎育ち」にこだわって育ててきたので、いい結果となりうれしい。長崎和牛が全国ブランドに近づいたといえるのではないでしょうか。背中や前躯幅の盛り上がりなど、今までになかったできあがりだったので期待していました。牛の持つ力を存分にいかすよう育ててきました。繁殖農家にご恩返しができました。
銀賞 2席
からつ前田畜産(株) 前田勇人さん JAからつ
入賞するとは思っていなかったので、素晴らしい賞をいただき驚いています。背中の筋肉の張り、ももの張りが良かった。均整のとれた牛でボリュームもあった。マイナス面の少ない全体のバランスが良い佐賀牛に育ったと思います。牛舎は台地の上にあり、潮風も届く。自然環境に恵まれたところで育ったことが良い結果になったと思います。
銀賞 3席
(有)徳重和牛人工授精所 徳重真生さん JA北さつま
多くの牛が出品された系統和牛枝肉共励会で銀賞3席を受賞できたことは良かった。出品した牛は、地元の子牛市場で購入したが、血統も良く、良い体型になりそうな雰囲気があった。実際、順調に育ち良い体型に育ってくれた。今後も遺伝能力を重視するとともに、良い体型に仕上げ、枝肉の量・質にこだわった経営をしていきたいと思います。
団体優秀賞
JA鹿児島県経済連肉用牛事業部・栗脇豊部長
団体優秀賞7連覇は、鹿児島の繁殖農家、肥育農家の全体のレベルが高いことを示した。その努力を称えたい。力のある枝肉だった。ロース芯面積平均103.8cm2は過去最高、出品牛15頭全てが脂肪交雑基準(BMS)No. 12。経営環境は厳しいが、畜産農家に弾みがつけばいい。来年も良い結果を残せるよう一つひとつ積み上げていきたい。
入賞者一覧
PDF: 1.11 MB