今年もしっかり備えて予防に努めましょう
鳥インフルエンザから日本の養鶏を守る/アルカリ性に注目した鳥インフルエンザ対策を!
2022.10
鳥インフルエンザから日本の養鶏を守る
9月に農林水産省の専門家会議が開かれ、ヨーロッパで過去最大規模の発生が起きていることから、今年も国内で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI 以降は、AI)が発生する可能性が高いと呼びかけました。前回の冬の発生では、渡り鳥ではないカラスや猛禽類の感染が多く見られ、野鳥に感染が広がっている可能性があります。
今年はすでに神奈川県と福井県でハヤブサ、宮城県でマガンから過去に例のない早さでウイルスが見つかっています。
■ヨーロッパでの発生件数(2021年10月~2022年8月)
■渡り鳥が飛ぶルートのイメージ
渡り鳥がウイルスを持ち込むルートはいろいろあります
北方ルート
シベリア→サハリン→北海道
中間ルート
中国→太平洋→東北・東日本
南方ルート
中国→朝鮮半島→西日本
➡︎さらに日本国内を縦断してウイルス拡散
昨年の流行時には猛禽類やカラスで感染が多発
ワシやタカ、カラスは、AIに感染した獲物や死体を食べてAIに感染します。自然の野山に広くAIウイルスが広がっている証拠です。スズメやネズミもウイルスを持っている可能性があります
農場のある県の猛禽類やカラスからAIが出たら注意が必要
環境省ホームページの野鳥感染情報を定期的にチェックしましょう。
湖の野鳥の数も発表されていますが、豪雪地では野鳥が凍った湖から沿岸等に移動することがあります。
昨年は、屋外で飼育されていたエミューでもAIが続発しました。
ウイルスはどこにでも降ってきているので、放し飼いは絶対に避け、特にカモやハクチョウなどが農場の上を飛んでいないか気をつけましょう。鶏舎の入気側は除草、片付け、石灰でウイルスの空気侵入を防ぎましょう。
少しでも外に出た長靴は踏込消毒槽よりも履替えです。外を歩いたら手袋や服は鶏舎ごとに交換しましょう。
JACCネットの家畜疾病情報
JA全農のJACCネットでは、家畜伝染病の最新情報や対策を発信しています。
JA全農が制作した動画を、職員研修や日々の営農にご活用ください。
アルカリ性に注目した鳥インフルエンザ対策を!
既に多くの養鶏場ではできるかぎりの鳥インフルエンザ対策を行っていると思います。今回は、既に広く行われている消毒作業にちょっとひと手間をプラスして、消毒の効果を上げる方法をご紹介します。
消石灰の効果を簡単にチェックできる「リトアクア」
消石灰は強いアルカリ性で、高い消毒効果を発揮します。空気中や雨水中の二酸化炭素と反応して次第に効果が無くなりますが、効果が下がっても見た目は白い粉のままです。鶏舎のまわりや通路に散布した消石灰に「まだ効果があるのか?」「次、いつ散布すればよいのか?」「踏込消毒槽の消石灰をいつ交換すればよいのか?」など、迷った時に消石灰の効果を簡単にチェックできる試薬があります。
消石灰有効性可視化材「リトアクア」は、消石灰に2~3滴たらして10秒後の色を見れば消石灰の効果を確認できる試薬です(特許第6820575号取得)。すぐに色が青くなればアルカリ効果は持続されていますが、10秒ほどたっても赤みがある場合は効果が無くなっているのですぐに交換しましょう。
逆性石けん消毒液をアルカリに傾ける資材
逆性石けん消毒薬(ロンテクト等)は、安全性が高く、さまざまな細菌やエンベロープのあるウイルスに効果があるので広く使われています。しかし、低温環境下では効果が低下するため、冬に流行する鳥インフルエンザ対策に使う場合は工夫が必要です。対策として、逆性石けん消毒薬の溶液に苛性ソーダや苛性カリを加えてアルカリ性に傾けることで効果が上がりますがこれらは、水に入れると発熱して飛び散りやすいので安全面で問題があります。
「フィーネナチュラルFNSパウダー」は、食品添加物の水酸化カルシウムを含む高純度・微粉末のアルカリ性資材です。このパウダーを逆性石けん消毒薬の溶液にとかすことで薬液をアルカリ性に傾けて効果を高められるため、養鶏場や養豚場でも活用されています。また、鳥インフルエンザウイルスに対しては、逆性石けん消毒薬と強アルカリによる相乗効果も確認されています。
地肌に触れても高温やpHによるやけどの心配がなく、安全で使いやすい資材です。念のため、マスク、ゴーグル、手袋等を着用して作業を行って下さい。
お問い合わせ:株式会社 科学飼料研究所 動薬部販売企画課 027-347-3223
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