JA東日本くみあい飼料株式会社
ドライクイック 病気減り、給餌の時短も

2023.04

 「ドライクイック」は、JA東日本くみあい飼料株式会社が販売する〝粗飼料入り混合飼料〟。従来は別々に配送、給与してきた配合飼料と粗飼料を混合した。農家の給餌の手間を削減し、病気の減少と乳量アップで生産性の向上にもつながる優れものだ。
 粗飼料を扱うJA全農畜産生産部単味・粗飼料課と配合飼料を扱うJA東日本くみあい飼料がタッグを組み、全農グループの強みを活かした商品として2021年4月に発売した。1日あたりの基準乳量を30kgに設定し、ドライデントコーンサイレージを中心に小麦ストローペレットなどを配合。農家はドライクイックと自給粗飼料も給餌することで、飼養管理を簡素化できる。
 使用する農家からは「乳量アップを実感した」「作業効率が高まり、余暇を確保することができた」などと好評で、工場のある栃木県で農家からの人気が高まっている。

飼養管理のポイント

  • 自給粗飼料も活用できる!
  • 粗たんぱく質が高いため、どんな自給牧草でも合わせやすい!
  • TMRに比べ、牛1頭1頭の状態に合わせて、自給粗飼料で給餌量を調整しやすい!
ドライデントコーンサイレージが主原料の「ドライクイック」
フレコン(350kg)で農家に納品

生産工場紹介
TOHOピクス(株)栃木工場

  • 所在地:栃木県栃木市城内町1丁目8番8号
  • 生産能力:月120t(今後160tまで増強)
  • 特徴:ドライデントコーンサイレージとその他の原料を混合してドライクイックを製造し、県内農家に配送する。硬いサイレージをほぐせるよう機械を改修するなど、東日本くみあい飼料と二人三脚で取り組んできた。人員を増やすだけでなく、4月にはサイレージをコンテナで直受けできるよう施設を増強し、月160t規模まで体制を強化する予定。
硬いドライデントコーンサイレージ
コーンサイレージと混合飼料を混合機に投入
サイレージをほぐすため、試行錯誤しながら改善した特注機械

1日40分時間短縮 病気減り、乳量アップ

JA東日本くみあい飼料養牛課の髙橋敏行課長

 試験段階からかかわり、効果を実感しているのが、栃木県大田原市の八木澤惠祐さん(42)だ。両親と3人で34頭を飼養し、ドライクイックと自給するWCSを給与する。ドライクイックを使い始めてから、給餌時間が毎回20分、1日あたり40分短縮できただけでなく、乳量も従来の1日25~26kgから、現在は同30kg程度に増加。「病気もほとんど出なくなり、繁殖成績も上がるなどいいことづくめ」と話す。

 八木澤さんは就農3年目。餌のコストを低減したいと考えていた際、東日本くみあい飼料養牛課の髙橋敏行課長から試験段階のドライクイックを勧められ、使用を決めた。1頭あたりドライクイックを18~20kg/日、WCSを10kg/日程度給与。ドライクイックは牛の食いつきも良く、従来に比べてたくさん食べるようになったため、乳量が増加した。主原料がドライデントコーンのため軽く、「重いものを持たなくてよくなった」のも魅力の一つだ。

 価格は従来の飼料よりもやや高かったが、八木澤さんは「手取りが増えて管理も楽になるため、今後もドライクイックを使い続けたい。家族経営の中小規模の農家に勧めたい」と話す。

八木澤さん(右)にドライクイックの使用状況などを聞く髙橋課長(中)と佐藤課長
ドライクイックを給餌する八木澤さん

 県内の中小規模の農家の間で利用が広がっており、1カ月あたりの供給量は、発売1年目の2戸・30tから、現在7戸・120tまで増加。工場の生産能力ぎりぎりまで到達しており、需要に生産が追いついていない状況だ。

 東日本くみあい飼料単味粗飼料課の佐藤弘達課長は「TOHOピクスと協力して生産体制を強化するとともに、コストを圧縮して農家に還元していきたい」と更なる改善に意欲を見せる。全農畜産生産部単味・粗飼料課の担当者も「高齢化や人手不足といった現場の課題を解決する手段の一つとして、ドライクイックで酪農業に新しいトレンドを創造していきたい」と前を向く。

JA東日本くみあい飼料株式会社

  • 本社:群馬県太田市東新町818番地
  • 設立年月日:昭和45年7月
  • エリア:関東・甲信越・東海・北陸の16都県
  • 支店:東関東(茨城県神栖市)、北関東(群馬県太田市)、東海(愛知県知多市)の3支店と、神奈川(平塚市)、山梨(甲府市)、長野(上伊那郡辰野町)、新潟(北蒲原郡聖籠町)の4営業所
  • 従業員数:431人

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