各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より
マーケット情勢(全農畜産総合対策部・3月まとめ)
2023.04
豚肉
1月の全国肉豚出荷頭数は、1,384千頭(前年比96.8%)と前年を下回った。地域別出荷頭数を前年比で見ると、北海道104.7%と北陸甲信越101.2%は前年を上回ったものの、その他の地域は前年を下回った。2月の全国と畜頭数の速報値も1,294千頭(同97.1%)と前年を下回る見込み。
1月の輸入通関実績は、豚肉全体で74.9千t(前年比90.7%、前月比108.7%)と前年を下回った。内訳は、チルドが34.6千t(同88.7%、同129.8%)、フローズンは40.4千t(同92.5%、同95.4%)。国別で見ると、チルドは米国・カナダの現地価格が高値で推移したため減少し、価格優位性のあるメキシコが増加した。
総務省発表の1月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯あたり豚肉購入数量は1,872g(前年比97.3%)、支出金額が2,925円(同106.2%)となり、購入量は前年を下回ったが、金額は前年を上回った。(※2019年度比:購入量100.1%、金額112.8%)。
2月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は需給が引き締まり、588円/kg(同115.1%)と高値で推移した。3月の相場は、季節需要に期待ができること、国内出荷頭数が前年を下回ること、輸入チルド豚肉の低位な輸入量等から、強含みに推移する予想。ただ、月後半は決算期の在庫調整から弱含みも想定されるため、月平均ではもち合いから弱含みとなる見通し。
【令和5年4月の相場予想】※東京市場 上物・税込550円
牛肉
1月の成牛と畜頭数は、83.9千頭(前年比103.1%)と前年を上回った。内訳は、和牛36.1千頭(同102.8%)、交雑牛20.0千頭(同107.3%)、乳牛去勢10.4千頭(同89.7%)となった。
1月の輸入通関実績は、全体で39.9千t(前年比98.8%、前月比106.6%)と前年を下回り、内訳ではチルド16.1千t(同98.4%、同104.1%)、フローズン23.8千t(同99.0%、同108.4%)となった。国別では、チルドはニュージーランドを除き、減少した。
総務省発表の1月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯あたり牛肉購入量は491g(前年比90.3 %)、支出金額が1,783円(同100.1%)となり、購入量は前年を下回ったが、支出金額は前年並みだった。(※2019年度同月比:購入量89.6%、金額98.5%)
2月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A5が2,534円(前年比99.9%)、A4が2,205円(同97.4%)、交雑牛B3が1,385円(同97.2%)、乳牛去勢B2が939円(同94.4%)だった。消費者の生活防衛意識が一層高まったことで、いずれも前年を下回った。
3月の相場は、月前半は引き続き弱含みな展開が予想されるが、後半からはマスク緩和による宴会需要の回復やGW需要が期待でき、月平均では強含みに推移する見通し。一方、乳牛去勢牛はホテル等での引き合いなどから、もち合いから強含みを見込む。
【令和5年4月の相場予想】※東京市場 税込
◎和牛去勢A4:2,300円 ◎交雑去勢B3:1,450円 ◎乳牛去勢B2:950円
鶏卵
1月の全国の餌付け羽数は7,920千羽(前年比99.3 %)。東日本が前年比104.4%と増加した一方、西日本は93.3%と減少した。東日本は北海道エリアが150.6%と大きく増加し、北陸エリアで54.4%と大幅に減少した。
1月の1人あたり家計消費量は898g(同96.9%)。令和3年比で94.4%、コロナ禍前の令和元年比で101.9%だった。令和5年の初市はMサイズが止市から40円落ちの260円で始まり、鳥インフルエンザの影響による供給不足が目立ち始め、量販店でも品薄状態となった。
2月の東京相場の月間平均は、Mサイズ327円(前年比+152円、前月比+47円)。供給面では、全国的に鳥インフルエンザの発生が続いていることから、産地在庫は低位に推移している。需要面では、供給不足の影響により、量販筋は販売数量を制限している状況。また、業務・外食筋も需要の盛り上がりが見られ、加工筋も在庫不足の状況から強い引き合いが継続している。
今後、長期化している鳥インフルエンザの影響による大幅な稼働羽数の減少と令和4年の年間累計の餌付け羽数の下振れ(前年比94.5%)により、全体的な需給は当面の間、不足感の強い状況が続く見通し。外食産業やインバウンド需要の盛り上がりといった好材料もあり、相場展開はテーブルエッグ、業務・外食筋等の堅調な需要に対し、当面は供給が追いかける展開になることが予想され、強含みの展開となると予測する。
鶏肉
生産・処理動向調査によると、1月の推計実績は処理羽数60,091千羽(前年比100.8%)、処理重量182.3千t(同101.1%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は1.8%下方修正され、処理重量はほぼ計画値通りとなった。育成は概ね順調で、処理羽数の前月計画からの減少に比べ、処理重量の減少値が少なかったことから、増体は良かったことがうかがえる。
財務省が2月24日に公表した貿易統計によると、1月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+0.1千tの44.4千t(前年同月比-9.4千t)で、国別ではブラジルが+2.2千t、タイで-1.4千tだった。国産品価格が依然として高値で推移している影響を受け、今後も一定の需要は継続されることが予想される。
1月の推計期末在庫は国産24.4千t(前年比69.6%・前月差-0.2千t)、輸入品125.6千t(同101.9%・同+1.4千t)と合計で150.0千t(同94.8%・同+1.2千t)となった。2月の月平均相場は、もも肉800円/kg(前月差-5円)・むね肉414円/kg(同-8円)、正肉合計で1,214円/2kgと前月を13円下回り、前年同月を245円上回った。もも肉相場は月初802円、月末は806円となり(昨年は月初646円、月末639円で7円の下げ)、昨年を大幅に上回った。
3月の生産量は、ほぼ前年並みの計画。しかし、鳥インフルエンザの発生が続いており、今後も拡大する恐れがある。量販店は相場高の影響で輸入解凍品や手羽元を価格訴求品として販売している店舗も多く、加工原料も再び輸入品に切り替える動きがある。もも肉相場・むね肉相場ともに下げのもも肉相場月平均790円、むね肉相場月平均405円と予測する。
【令和5年4月の相場予想】 ◎もも肉:780円 ◎むね肉:390円
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