(全農畜産総合対策部・9月まとめ)
マーケット情勢

2023.10

豚肉

 7月の全国豚と畜頭数は1,247千頭と前年並み(前年比99.7%)。地域別に見ると、北海道と東北で上回り、中四国が前年並みだったが、ほかの地域は前年を下回った。8月の全国と畜頭数の速報値は1,294千頭(同98.0%)と前年を下回る見込み。

 7月の輸入通関実績は、豚肉全体で74.9千t(前年比90.2%、前月比92.0%)と前年を下回った。内訳はチルドが30.3千t(同98.0%、同97.7%)、フローズンは44.6千t(同85.5%、同88.5%)となった。国別で見ると、チルドでメキシコが増加したものの、カナダ、米国が減少。フローズンでもデンマーク、スペイン、カナダなどで減少した。

 総務省発表の7月度家計調査報告によると全国2人以上の1世帯あたり豚肉購入数量は1,765g(前年比101.1%)、支出金額が2,698円(同104.2%)となり、購入量、金額ともに前年を上回った(2019年度比:購入量 102.6%、金額114.4%)。

 8月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、714円/kg(前年比110.9%)と前年を上回った。9月の枝肉相場は、前半が酷暑や豚熱等の影響から出荷頭数の減少が見込まれること、学校給食の再開により需要が回復することから需給が引き締まり高値推移が予想される。一方で3連休以降は徐々に需給が緩和するため、月平均では前年を上回るものの前月は下回る弱含みでの推移を見込む。

【令和5年10月の相場予想】※東京市場 上物・税込630円

牛肉

 7月の成牛と畜頭数は、95.3千頭と前年並み(前年比101.3%)。内訳は、和牛45.9千頭(同102.3%)、交雑牛23.0千頭(同107.9%)、乳牛去勢11.2千頭(同93.4%)。

 輸入通関実績は、全体で38.7千tと前年を下回った(前年比74.4%、前月比88.6%)。チルドが19.4千t(同99.2%、同117.4%)、フローズン19.3千t(同59.5%、同71.2%)で、国別では、チルドは豪州が増加したが、その他の国は減少した。フローズンは、全ての国が減少した。

 総務省発表の7月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯あたり牛肉購入量は475g(前年比94.2%)、支出金額が1,643円(同91.8%)となり、購入量、支出金額ともに前年を下回った(※2019年度同月比:購入量 91.0%、金額 108.2%)。

 8月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A5が2,448円(前年比99.9%)、A4が2,060円(同94.6%)、交雑去勢B3が1,442円(同96.6%)、乳牛去勢B2が784円(同89.6%)だった。

 9月は徐々に暑さが和らぐことから需要の回復に期待ができ、インバウンド需要の増加も見込まれるため、和牛・交雑種ともに強含みで推移する見込み。一方、乳牛去勢は、学校給食の再開により需給バランスが改善し、前月より強含みで推移するが、前年の価格水準から大きく下回る予想。

【令和5年10月の相場予想】※東京市場 税込

◎和牛去勢A4:2,150円 ◎交雑去勢B3:1,500円 ◎乳牛去勢B2:850円

鶏卵

 7月の全国の餌付け羽数は8,850千羽(前年比103.4%)だった。東西別の前年比は、東日本104.0%、西日本102.7%と前年を上回った。地域別に見ると、北海道エリアで143.1%、北陸エリアでも148.7%と大幅に増加したものの、東北エリアでは75.5%と前年を3カ月ぶりに下回る推移となった。

 鶏卵の1人あたりの家計消費量は813g(同88.8%)。令和3年比でも90.0%、コロナ禍前の令和元年比でも91.1%だった。7月は気温上昇にともなって季節性需要が減少し、発注数量が落ち着いたと考えられる。暑さが和らげばさらなる需要の戻りも期待でき、今後のテーブルエッグ需要は堅調となる見通し。

 8月の東京相場の月間平均は、Mサイズ282円(前年比+78円、前月比-38円)。需要面は、量販筋でお盆明け以降、回復基調にあり、学校給食の再開などで中玉以上のサイズを中心に引き合いが見られている。これらの状況から相場は8月7日の下押し以降、9月5日、12日と上伸の展開となっている。

 今後、鳥インフルエンザからの回復が続き、生産量は増加傾向になる見込み。また、例年を超える残暑が続くと想定され、産卵率と個卵重の低下も継続すると考えられる。需要面は気温の低下とともに家計消費の増加や大手ファストフードチェーン店のプロモーション等の好材料が多いため、盛り上がりが期待される。これらの状況から今後の相場展開は強含みの展開となると予想する。

鶏肉

 生産・処理動向調査によると7月の推計実績は処理羽数58,621千羽(前年比100.4%)、処理重量175.3千t(同101.2%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は0.6%下方修正、処理重量は0.7%上方修正された。熱死等の影響で処理羽数は下がったものの、増体がよく処理重量は上回る結果となった。

 財務省発表の貿易統計によると、7月の鶏肉(原料肉)の輸入量は46.7千tで前月比-11.0千t。ブラジルでの鳥インフルエンザ発生にともなう発生州からの一時輸入停止措置の影響もあり、9月は前月時点の予測から減少。タイ産の価格は引き続き上昇傾向となっており、国産むね肉への影響が考えられる。

 7月の推計期末在庫では、国産30.6千t(前年比106.0%・前月差+2.0千t)、輸入品129.6千t(同107.0%・同-4.0千t)と合計で160.2千t(同106.8%・同-2.0千t)となった。8月の月平均相場は、もも肉674円/kg(前月差-35円)・むね肉383円/kg(同-15円)、正肉合計で1,057円/2kgと前月を50円下回り、前年同月を54円上回った。

 もも肉は月初688円、月末は674円となり、昨年の相場を上回った。気温上昇の影響で国産もも肉の苦戦が続いているが、9月中旬以降は売り場の棚割り変更により、販売が伸びていくことが予想される。むね肉は、涼味用商材としての需要もあり、引き続き順調に推移すると思われる。親鳥不足の影響もあり、凍結品の引き合いは相変わらず強い。以上のことから、もも肉相場は下げの月平均650円、むね肉相場はもち合いの月平均380円と予測する。

【令和5年10月の相場予想】 ◎もも肉:670円 ◎むね肉:380円

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