第25回全農肉牛枝肉共励会
宮城県が5年連続の名誉賞獲得
2023.10
JA全農は7月7日、第25回「全農肉牛枝肉共励会」を東京都中央卸売市場食肉市場で開催した。全国18都県から334頭が出品。宮城県の髙橋榮一さん(JA新みやぎ)が最高位に当たる名誉賞に輝き、宮城県が5連覇を果たした。最優秀賞は、栃木県、鹿児島県、神奈川県が手にした。
共励会には、和牛去勢214頭、和牛雌88頭、交雑種32頭が出品された。歩留等級では、和牛去勢のA等級の割合が93.5%で、歩留基準値の平均が77.6と全国平均より2.3高く、高評価を得た。和牛雌の「5」等級の割合は95.5%、交雑種の「4」等級以上の割合は75.0%だった。
平均枝肉重量は、和牛去勢584.0kg、和牛雌495.0kg、交雑種629.0kgだった。
生産者の努力が見える好成績 歩留基準値を高める飼養管理を
JA全農の髙橋龍彦畜産総合対策部長㊨から
賞状を授与される髙橋さん
小林淳二審査委員長(公益社団法人日本食肉格付協会専務理事)は「和牛去勢は、歩留基準値の平均が77.6と、大変素晴らしい結果」と講評。肉質については「5」等級の割合が91.6%、BMSナンバーの平均は10.6で、昨年より0.6上昇し、「申し分ない成績」とたたえた。
肉質が高位平準化する中、購買者は歩留基準値が高いものを評価するとし、「枝肉重量と肉質は正の相関にあり、大きく育てれば肉質との関係も上位が期待できる傾向にあります」と説明した。
和牛雌については、「雌は去勢に比べ、脂肪付着が厚くなる傾向にありますが、うまくコントロールされ、歩留率の高いものが多かった印象です」と総評。肉質は、「5」等級の割合が95.5%、BMSナンバーの平均は11.1で、「昨年より1.0上昇し、皆さんの努力が見える申し分ない結果」と話した。
交雑牛は、「枝肉重量が充実しており、雌の平均重量は昨年より31.2kg増の591.6kg、去勢は17.6kg増の653.1kgで、飼養管理技術の高さがうかがえます」と講評。「BMSナンバー5以上は81.3%で、4等級以上率が75.0%と前年を9.4ポイント上回る優秀な成績」とたたえ、体型が和牛のように厚く充実したものが多く、脂肪の質と光沢の良いものが多かったとした。
名誉賞は小柄も肉付き充実 艶やかで粘りのある脂肪
名誉賞を受賞した髙橋さんの出品牛は、父が隆之国、母の父が安福久、母の祖父が勝忠平。枝肉重量が498kg、ロース芯面積が82㎠と、比較的小柄だったが、前躯、中躯、後躯の釣り合いが良く、肉付きが充実しており、「美しくバランスの良い切開面」と評価された。肉の光沢は艶やかで、「健康に育ってきたことがうかがえ、オレイン酸が高いと思われる艶やかで粘りのある脂肪」と高い評価を受けた。
名誉賞
髙橋 榮一さん
宮城県 JA新みやぎ
今回、受賞するとは思っていませんでした。運が良かったと思っています。オレイン酸を意識し、くどくなく脂がおいしい牛を目指して育てています。今回の牛はよく食べて寝る牛で、自分でも食べてみたいと思う牛でした。受賞を励みに、なお一層、努力をしていきます。
最優秀賞 【和牛去勢の部】
松本 昭二さん
栃木県 JAおやま
過去にこのような大きな賞もらったことがなく、家族で喜びました。JAおやまの方など、支えてくれた皆さんのおかげです。出品した牛は、手綱なしでも人の後を付いてくるような懐っこい牛でした。受賞を励みに、今後も2度3度と賞が取れるよう頑張ります。
審査講評
歩留基準値は80.8、BCSナンバーは4。名誉賞に劣らず立派な枝肉だったが、僅差で最優秀賞となった。
最優秀賞 【和牛雌の部】
髙﨑 剛史さん
鹿児島県 JA北さつま
(※兄の髙﨑淳史(あつし)さんが代理出席。コメント、写真は兄の淳史さん)
受賞した牛は、農場でも一頭だけ目立っていました。雌らしくない見た目で、まるで去勢のような迫力がありつつ、脂肪は雌らしい出来で、これだったら受賞できると思っていました。満足いく出来です。
審査講評
切開面だけ見れば「去勢」を思わせる迫力があり、思わず「男前」といいたくなる枝肉。オレイン酸が高いと思われるつややかで粘りのある素晴らしい脂肪だった。
最優秀賞 【交雑種の部】
(株)湘南ファーム 桜井 堯浩さん
神奈川県 JAさがみ
受賞は励みになり、たいへんありがたいです。今回出品した牛は、食べっぷりが良く、体型もよく育ったので、自信はありました。今後も良い牛を作っていけるよう、取り組んでいきたいです。
審査講評
筋間脂肪や皮下脂肪に無駄がなく、脂肪交雑も形状の良いサシがバランスよく分布していた。特に脂肪の質に粘りがあり、和牛顔負けの光沢の良い脂肪だった。
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