(全農畜産総合対策部・12月まとめ)/マーケット情勢
2024.01
各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より
豚肉
10月の全国豚と畜頭数は、1,437千頭と前年を上回った(前年比103.3%)。地域別に見ると、多くの地域で前年を上回ったが、東海が前年並み、近畿で下回った。11月の全国と畜頭数の速報値は1,491千頭(同100.5%)と前年並みの見込み。
10月の輸入通関実績は、豚肉全体で70.2千t(前年比92.6%、前月比113.6%)と前年を下回った。内訳は、チルドが33.5千t(同118.8%、同125.5%)、フローズンは36.7千t(同77.1%、同104.6%)となった。国別で見ると、チルドではカナダ、メキシコが増加し、フローズンでは、カナダが増加した。
総務省発表の10月度家計調査報告によると全国2人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,850g(前年比95.5%)、支出金額が2,862円(同99.9%)となり、購入量は前年を下回ったが、金額は前年並みとなった(2019年度比:購入量 102.3%、金額 112.0%)。
11月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は519円/kg(前年比91.9%)と前年を下回った。11月後半の相場は、気温の低下とともに一部の肉豚生育に影響があり出荷頭数が伸び悩んだことに加え、輸入豚肉の供給数量減等から需給が引き締まり強含みとなった。12月の相場は、寒さが本格化し鍋物需要等が強まることに加え、出荷頭数が11月より減少する見込みのため需給が引き締まり、強含みでの推移が予測される。
【令和6年1月の相場予想】※東京市場 上物・税込540円
牛肉
10月の成牛と畜頭数は、96.0千頭(前年比104.7%)と前年を上回った。内訳は、和牛44.4千頭(同109.8%)、交雑牛22.4千頭(同102.6%)、乳牛去勢11.1千頭(同102.9%)。
輸入通関実績は、全体で40.3千tと前年を下回った(前年比82.9%、前月比108.8%)。チルドが16.8千t(同115.3%、同109.4%)、フローズン23.5千t(同69.1%、同108.4%)で、国別では、チルドは豪州が増加し、フローズンは全ての国が減少した。
総務省発表の10月度家計調査報告によると、全国2人以上の1世帯当たり牛肉購入量は431g(前年比80.9%)、支出金額が1,621円(同91.1%)となり、購入量、支出金額ともに前年を下回った(※2019年度同月比:購入量90.2%、金額106.5%)。
11月の東京市場枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A5が2,647円(前年比99.9%)、A4が2,250円(同94.7%)、交雑去勢B3が1,524円(同101.2%)、乳牛去勢B2が791円(同70.9%)だった。
12月は最需要期を迎え、量販店等が消費喚起を促しているものの、消費者の生活防衛意識が依然高く、インバウンド需要にも大きな期待ができないため、和牛・交雑種ともにもちあいで推移する見込み。乳牛去勢は、輸入牛肉の通関遅れなどにより代替需要が期待できるものの、市中在庫があり、もちあいと予測する。
【令和6年1月の相場予想】※東京市場 税込
◎和牛去勢A4:2,100円 ◎交雑去勢B3:1,450円 ◎乳牛去勢B2:750円
鶏卵
10月の全国の餌付け羽数は8,352千羽(前年比104.7%)だった。東西別の前年比は、東日本101.1%、西日本109%と前年を上回った。地域別に見ると、北海道エリアは前年並みの100.9%、北陸エリアでは132.9%と大幅に増加したものの、東北エリアでは94.9%、関東エリアでは98.5%と前年を下回る推移となった。
10月の鶏卵の1人当たりの家計消費量は891g(同93.3%)。令和3年比で94.6%、コロナ禍前の令和元年比で96.0%と、気温が落ち着いてきたものの家計消費量が回復しきらず、12カ月連続で前年を下回った。物価高による節約志向の高まりなどが背景にあると見られる。今後は、クリスマスや年末年始に向け、購買意欲の上昇が期待され、家計消費は堅調な推移となる見込み。
11月の東京相場の月間平均は、Mサイズ254円(前年比-8円、前月比-29円)。需要面では、量販筋が年末商戦に突入し、特売の頻度と数量増加が見られ堅調な荷動き。問屋筋でも発注数量の盛り上がりが見られる。一方、加工筋は需要の回復が不十分で過剰在庫となっている。
今後については、昨シーズンの鳥インフルエンザからの復帰鶏群により、供給量増が続く可能性が高く、気温の低下から引き続き大玉増加、小玉減少を見込む。一方、最需要期を迎え、テーブルエッグ消費の増加や冬メニューの本格化など、堅調な荷動きが期待される。これらから、需要の回復しだいとなり、今後の相場展開はサイズ間調整の展開を予想する。
鶏肉
生産・処理動向調査によると、10月の推計実績は処理羽数63,509千羽(前年比101.0%)、処理重量191.1千t(同100.7%)となった。夏場の暑さが落ち着き気温が下がったことで、増体・育成は比較的順調で、商品化率が落ちていた内臓類も徐々に廃棄が減ってきている。
財務省が発表した貿易統計によると、10月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月比-0.6千t、前年比-6.1千tの47.8千tで、国別ではブラジルが前月-1.6千tの29.8千t、タイが+1.0tの16.5千tとなった。鳥インフルエンザによる輸入停止措置の影響によりブラジルからの輸入量減少が11月まで続く一方、12月には輸入量も回復することが予想されるため、不足感はない状況が続く見込み。
10月の推定期末在庫では国産29.8千t(前年比118.0%・前月差-0.2千t)、輸入品130.9千t(同102.7%・同-1.6千t)と合計で160.7千t(同105.2%・同-1.8千t)となった。11月の月平均相場は、もも肉673円/kg(前月差+24円)・むね肉374円/kg(同+5円)、正肉合計で1,047円/2kgと前月を29円上回り、前年同月を78円下回った。
生産においては、11月に入って気温も下がり、比較的順調に推移した。12月の生産量は、前年並みの計画。今期は暖冬の予測が出ており、生産は今後も順調に推移していく予想。ただ、12月上旬時点で、4県で鳥インフルエンザが発生しており、警戒が必要な状況になっている。
販売面では、鍋シーズンが到来し、もも肉・もも肉切身の売り場も広がり、特売を打つ量販店も多い。むね肉も、節約志向による値頃感や鍋用つみれの原料として生鮮品・冷凍品とも引き続き順調に推移する見通し。
【令和6年1月の相場予想】 ◎もも肉:710円 ◎むね肉:370円
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