NEWS 侵入を防ぐ!ランピースキン病対策
2024.07
ランピースキン病について
ランピースキン病とは・・・
牛および水牛の皮膚疾患で、伝染病です。全身の皮膚に結節(できもの)や水腫が現れ、発熱や泌乳量の減少などの症状が出て、生産性に影響を及ぼします。主に、蚊やハエ、ダニの媒介による機械的伝播や、感染した牛の移動により感染が拡大します。国内での発生は未確認ですが、アジアでは2019年の中国での発生以降、各国で発生が続いています。
原因病原体と病名の由来
原因病原体
▶ランピースキン病ウイルス
病名の由来
▶感染牛の皮膚疾患症状(皮膚に多数の結節ができて「でこぼこ」になる)から、ランピースキン(lumpy skin)病と名付けられました(lumpy:表面などがでこぼこした、skin:皮膚)。
感染源
節足動物
▶蚊やハエ、ダニなどによる機械的伝播が主な伝播経路
感染牛の唾液など
▶ウイルスを含む唾液や鼻汁、乳汁、精液などとの接触で感染。唾液で汚染された飼料や飲水も伝播源になります。
※ウイルスは尿やふん便中には排泄されません。
かさぶた
▶感染牛の皮膚疾患部位にできる“かさぶた”も伝播源になります。
アジアにおけるランピースキン病の発生状況
近隣国で多発!
中国
▶2019年8月に中国大陸の一部で発生。その後、沿海地域に拡大。
台湾
▶2020年7月に金門島(金門県)で感染牛を確認。特に河川の流域や低地での発生が多く、季節としては多湿夏期(雨期)に多発。
韓国
▶2023年10月に初めて感染を確認し、国内で107件の発生を確認。同年11月10日に国内の全ての牛にワクチン接種を完了し、同月27日に牛の搬出入制限を解除。
日本
▶発生なし。
清浄国だが、油断は禁物!
ランピースキン病を疑う症状
潜伏期間
▶2~4週間
感染初期
▶発熱、食欲不振、鼻汁、流涙、流涎
発熱後48時間以内
▶体表や呼吸器、消化器、生殖器の粘膜に多数の発疹や結節が現れます。
経過
▶回復までに3カ月以上かかり、衰弱状態が長期間続きます。長いものでは半年~1年かかります。軽度の場合は2~3週間で治癒します。
影響
▶流産や泌乳量の低下が認められます。結節は、回復後も痕跡が残るため、皮革の商品価値が低下します。
致死率は高くないものの、上記のことから、本病は経済的損害の大きい疾病です。
出典:農水省HP
ランピースキン病の予防策
ウイルスの侵入防止対策として・・・
①毎日の健康観察
牛の導入・出荷・移動時は観察を徹底しよう。
②害虫の駆除
③清掃・消毒
衛生管理区域内の整理整頓を徹底し、器具や施設は清掃・消毒を心がけましょう。
有効な治療法はなく、国内での発生が認められた場合に、早期発見・早期通報が必要です。
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