福岡県久留米市 福栄組合
生産・販売の一貫体制を確立 機能性強みに安定供給を実現する

2024.07

農事組合法人 福栄組合(The union corporation of agricultural of Fukuei)

会長:秋吉 和則さん
本社・工場:福岡県久留米市北野町高良1369-3(県内に自社・関連9農場)
従業員数:148名
飼養羽数:平均20万羽(年3回転)
年間出荷羽数:60万羽(2023年度)
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 生産から販売まで一貫した体制を確立し、高い品質で人気を集める「はかた地どり」。出荷羽数は2023年度までの13年間で約2倍の60万羽まで増え、地鶏の生産量として九州1位、全国3位を誇る。その全量を生産するのが、福岡県久留米市の農事組合法人福栄組合だ。JA全農くみあい飼料株式会社の専用飼料を与え、飼育・衛生管理もマニュアルで統一。生鮮食肉として日本初の「機能性表示食品」として受理され、地理的表示(GI)保護制度にも登録された。消費者の志向をつかみ、量販店を中心に外食、加工品など関東・関西の消費地でも販売が広がる。

地鶏生産量全国3位の実力だよ
Memo
はかた地どり

●肉の特徴
赤い肉色が美しく甘味とコク、ほど良い歯ごたえ。臭みが少ない。

●飼育方法
全て開放鶏舎の平飼いで、1坪当たり33羽以下。飼育期間は平均80日。

●飼料の特徴
木酢液と樹皮炭を配合した木酢酸混合飼料を添加。肉に臭みの少ない鶏が育つ

開放鶏舎の平飼いでゆったりした飼養環境が強み

 福岡市の中心部から車で約1時間。筑後川からほど近い場所に福栄組合の本社・工場が見えてきた。新しい外観の工場に到着すると、鶏肉の生産・流通に長く携わってきた中垣誠専務(63)が迎えてくれた。「はかた地どりは、専用種鶏場から雛を導入し、飼料や飼育方法も統一することで全国でも珍しい一貫体制の地鶏肉を供給しています」と話す中垣専務。生産のこだわりや販売戦略を語ってくれた。

生産体制を統一 高品質な地鶏に

 「はかた地どり」は福岡県農林業総合試験場が水炊きなどの郷土料理に合う鶏肉として開発した地鶏で、赤い肉色が美しく甘味とコク、ほど良い歯ごたえが特徴だ。福岡在来の軍鶏に横斑プリマスロックをかけ合わせた父と白色プリマスロックの母を交配した専用の種鶏から育てる。モモ肉が厚く、手羽元や手羽先もボリュームがある。
 雛は株式会社山形種鶏場1カ所から導入し、自社・関連の9農場で飼育する。飼い方についても、福栄組合や福岡県などでつくる「福岡県はかた地どり推進協議会」で作成した生産工程管理規約で統一しているため、どの農場で育てた鶏も同じ品質を保ち、むらのない管理を実現していることがこだわりだ。定期的に各農場の状況を点検、指導もしているという。自社・関連農場は全て開放鶏舎の平飼い。飼育期間は平均80日で、1坪33羽以下になるよう、ゆったりとした飼育環境をつくっている。
 飼料はJA全農くみあい飼料株式会社が販売するマッシュタイプの専用品を前期、後期、仕上げの3段階で与える。特徴は、木酢液と樹皮炭を配合した木酢酸混合飼料を添加していることだ。木酢液入り混合飼料の持つ有機酸などの有効性成分によって、肉に臭みの少ない鶏が育つ。
 その証拠となるのが、肝の人気ぶり。中垣専務は「肝は一般的に販売が難しく在庫が余る場合も少なくないが、はかた地どりは臭みの少なさから肝の引き合いが非常に高い。肝が苦手な人にもおいしく食べてもらえると好評です」と笑顔を見せる。

中垣 誠専務
「全国でも珍しい一貫体制です」

飼養管理を徹底 健康管理に注力

 久留米市内の農場の管理者である井上譲治さん(68)は鶏舎の見回りや整理を徹底している。清潔な環境を整えているため、驚くことに農場は鶏舎の臭いがほとんどしない。生産工程管理規約を守り、全農場共通のマニュアルを参考に季節に合わせて管理をする。「注意深く観察し、鶏の体調に変化がないか見極めることが大切です」と井上さん。敷料の厚さや鶏舎内の適正温度などもマニュアルで決まっているという。床替えや適度に鶏舎内で運動させるなど、健康な鶏に育てるための努力を欠かさない。
 飼料を供給するJA全農くみあい飼料株式会社の矢野達紀部長代理は「臭みのない鶏が生産できているのは、きれいな農場でよい管理をしている証拠です」と評価する。井上さんは「これからも鶏の観察を欠かさず、健康で安全・安心の地鶏肉を提供していきたい」と意気込む。

井上 譲治さん
鶏の体調管理に気を使っています
自慢の肉おいしいよ
JA全農くみあい飼料株式会社の矢野部長代理(左)と井上さん。
生産管理についての話し合いに余念がない。

ブランド力強化 消費者の心つかむ

 「はかた地どり」は2019年、生鮮食肉として初めて「機能性表示食品」として消費者庁に受理された。「はかた地どり」のムネ肉には、「アンセリン」「カルノシン」という成分が一般のブロイラーより多く含まれ、加齢で衰えやすい認知機能の向上をサポートする効果があるという。こういった消費者の健康志向のニーズに合致する魅力を、量販店や外食バイヤーに売り込み、関東や関西でも人気を伸ばしてきた。
 特徴的な加工品づくりも、ブランド強化の役割を担う。原料はムネ肉と食塩だけで、添加物防腐剤不使用の「JERKY OF HAKATA JIDORI」は、10g当たり8・5gのたんぱく質を含み、疲労感を軽減する効果があるとして、機能性表示食品として販売。「はかた地どりともち麦のお粥」は内容量200gのうちムネ肉が70gを占める。宇宙日本食認証にも申請中で、「はかた地どり」の機能性や健康面への好影響をアピールする。
 外食チェーンと連携した店舗も展開する。店の名前は法人名と同じ「福栄組合」で、銀座、渋谷、池袋に3店舗を構える。消費地での認知度も高め、消費者に「はかた地どり」の魅力を伝える。一方、福岡県内6店舗に唐揚げ店も直営。地元で愛される地鶏肉として定着している。コロナ下で地鶏全体の販売が苦戦した時期もあったが、現在の仕向け先は九州・関西・関東のスーパーなどにも大きく広がった。量販店が6割、外食が3割、加工品が1割の構成だ。

地どりたっぷり「炊きこみご飯の素」GIをアピール
機能性をアピール
35%がムネ肉

工場をリニューアル 冷凍設備に特徴

 工場は2018年にリニューアルした。鶏肉処理のラインに大型機械や冷凍設備などを導入し、増加する生産量に対応できるよう効率化している。厳重に衛生管理された工場内を見学すると、従業員は整理整頓されたラインで、素早く鶏肉の処理を進めていた。
 工場のリニューアルに合わせて導入した冷凍設備「リキッドフリーザー(凍眠)」は、冷気で凍結する冷凍機ではなく、パッケージに入れた鶏肉をマイナス30度のアルコールに浸すことで、すばやく凍結する。鶏肉の細胞が破壊されず、解凍時にドリップがほとんど発生しない。「おいしいはかた地どりを鮮度そのままで届けられています」と中垣専務は強調する。一部商品はこの冷凍技術で出荷し、香港、マカオへ輸出している。
 中垣専務は「全国的な認知度も上がってきています。これからもはかた地どりブランドを多くの人に知ってもらい、ブランド力を高めていきたい」と展望する。

臭みの少なさから肝が人気!肝が苦手な人でもおいしく食べられます。
中垣専務が工場を案内してくれました!

イチオシ情報!

福岡県内に唐揚げ店が6店舗
ご注文を受けてから、出来立てアツアツのおいしい唐揚げをお出ししています。

福栄のから揚げ 北野町本店

住所:〒830-1114 久留米市北野町高良1369-3
TEL:0942-78-6677(代)
営業時間:10:00~19:00

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