第26回全農肉牛枝肉共励会
宮城県が6年連続の名誉賞獲得
2024.10
JA全農は6月28日、東京都中央卸売市場食肉市場で「第26回全農肉牛枝肉共励会」を開催した。全国19都県から338頭が出品され、宮城県・JAみやぎ登米の及川勝さん(54)の出品牛(和牛・去勢)が最高位の名誉賞に輝き、同県勢が6連覇を達成した。和牛去勢の部、和牛雌の部、交雑種の部の最優秀賞は、栃木県勢が3部門を独占した。
共励会には、和牛去勢208頭、和牛雌101頭、交雑種29頭が出品された。肉質等級では、和牛去勢の「5」等級の割合が93.8%、和牛雌の「5」等級の割合は91.1%、交雑種の「4」等級以上の割合は62.0%。平均枝肉重量は、和牛去勢586.0kg、和牛雌504.0kg、交雑種625.0kgだった。
購買者は高い歩留基準値を評価 飼養管理の徹底を要請
審査講評を述べた早瀬政貴審査委員(東京食肉市場株式会社牛肉営業部部長)は、和牛去勢の歩留基準値の平均が78.4と全国平均より3ポイント高く、脂肪交雑基準(BMS)ナンバーの平均は10.7と昨年より0.1ポイント上昇し、「素晴らしい結果」とたたえた。
枝肉重量とBMSは正の相関にあり、大きく育てれば格付け成績の向上が期待できると説明。ケガや事故がなく健康に大きく育て、枝肉重量をしっかり確保することは、肥育経営にとって重要であるとした。
和牛雌については、BMSナンバーの平均が10.5と昨年より0.6ポイント下げているが、「依然として高い数値を維持しており、申し分のない内容」と話した。雌は去勢に比べて脂肪付着が厚くなる特徴があり、格付明細書には記載されない腰の部分の脂肪付着は購買者の評価ポイントなので、無駄な脂肪が付きすぎないように、日ごろの飼養管理に気を付けるように要請した。
交雑種は、雌5頭の平均枝肉重量は昨年より27.2kg減の564.4kg、去勢24頭は15.2kg減の637.9kg。BMSナンバー5以上は62.1%、肉質4等級以上率が62.0%と、それぞれ昨年より19.2ポイント、13ポイント減少しているが、2023年における全国の4等級以上率が25.4%であるので、「全国平均を優に上回る出品内容であった」と評価した。
細部に至るまで脂肪交雑が充実 美しさとまとまりの良さを兼備
名誉賞を受賞した及川勝さんの出品牛は、父が「勝早桜5」、母の父が「美国桜」、母の祖父が「百合茂」。枝肉重量は590kg、BMSナンバー12、ロース芯面積99cm²、バラの厚さ10.4cm、皮下脂肪の厚さ1.8cm、歩留基準値80.2。ロース芯の形状や僧帽筋、広背筋といったかぶりの厚み、また腹鋸筋を含めた筋肉構成のバランスの良さがうかがえ、「美しさと全体のまとまりの良さを兼ね備えた、まさに名誉賞にふさわしい仕上がり」と高評価を受けた。
名誉賞
及川 勝(おいかわ まさる)さん
宮城県 JAみやぎ登米
子牛を購入するときは血統や皮膚の状態、体型など注目する点がいくつかありますが、なんといっても「よく食べる」牛であることが重要だと思っています。しかし、よく見ていても導入した後で食べない牛もいるので、今回はきめ細かな管理を徹底できたのが良かったのだと思います。
最優秀賞 和牛去勢の部
佐藤 和徳(さとう かずのり)さん
栃木県 JAなすの
繁殖から肥育まで家族経営でやっています。私と息子の2人が担当していて、2年前(第24回)は優秀賞を受賞しました。あともう一歩のところで最優秀賞を逃したので、今回の受賞はとてもうれしいです。
審査講評
父「美津金幸」、母の父「安福久」、母の祖父「百合茂」。BMSナンバー12、ロース芯面積101cm²、歩留基準値79.5。体型、モモ抜けなど名誉賞に勝るとも劣らない枝肉。
最優秀賞 和牛雌の部
(株)近藤ファーム
近藤 毅(こんどう たけし)さん
栃木県 JAおやま
かつては宮城県で子牛を購入していましたが、血統や目指すべき肉質を見直し矢板家畜市場に戻って購入したのが奏功しました。受賞牛は佐藤和徳さんが育成した子牛です。
審査講評
BMSナンバー12、肉の色沢(BCS)ナンバー4、切開面の充実した脂肪交雑に加え、モモ抜けの良さなどを評価。雌らしい品の良い体型で、綺麗な枝肉であった。
最優秀賞 交雑種の部
(株)手塚畜産
手塚 正(てつか ただし)さん
栃木県 JAしおのや
血統や体型など将来性を考えてヌレ子を選定し、ストレスを与えないように基本に忠実な飼養管理を徹底しています。また、夏場のビタミンAコントロールなど、季節の環境条件に合わせた対策も心掛けました。
審査講評
交雑らしい体型だが、モモの肉付きが充実しており、モモ抜けの良さなどが評価された。筋間や皮下脂肪には無駄がなく、バランスよく脂肪交雑が入っていた。
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