全農養鶏セミナー 2024
養鶏業界の気になる話題をまとめて解説
2024.10
期間 2024年9月9日~9月30日
方法 オンライン配信 参加費 無料
JA全農畜産生産部は2024年9月9日から9月30日まで、「全農養鶏セミナー2024」をオンライン形式で開催しました。業界の気になる話題を一度に学べるセミナーということで、多くの皆さまにご参加いただきました。ここでは、配信したセミナーのポイントをご紹介します。
テーマ1 直近の飼料原料情勢全農
全農 穀物外為課 課長 鮫嶋 一郎
全農 蛋白原料課 課長 境 健司
飼料価格に大きく影響するトウモロコシと大豆の直近情勢について、全農の原料部門より解説をしました。トウモロコシについては20~22年にかけて、シカゴ相場が高騰していたものの、直近に関しては、米国・南米ともに順調な作柄予想で、また、中国の輸入需要も一定落ち着いてきていることもあり、相場は落ち着いてきています。
大豆についても同様に、米国の順調な作柄予想が、シカゴ相場に反映されています。また、米国では再生可能ディーゼル(RD: Renewable Diesel)・持続可能エネルギー由来の航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)向けの大豆油の需要が大幅に増加しており、これに伴い新規搾油工場の建設が進むなど、情勢に大きな変化が現れており、今後の情勢が注目されます(図1)。
テーマ2 鶏卵の需給動向と今後の見通し
JA全農たまご株式会社 東日本営業本部 第一営業部 次長 桑原 徹平
直近の鶏卵の需給動向について、JA全農たまご㈱から解説をしました。22年に発生した高病原性鳥インフルエンザの影響から、直後の23年の鶏卵相場は高騰し、結果的に国内の鶏卵消費量は22年以前と比べて縮小しました。その後、国内の飼養羽数は徐々に戻ってきたものの、22年以前の水準までは戻っていません(図2)。
需要面についてみると、家計消費は22年以前の水準に戻っており、外食向けについても比較的好調に推移しています。一方で加工向けは当時の卵価高騰の影響により、マヨネーズをはじめ惣菜や製菓、製パン等に使用される卵の使用割合が減少した状態から戻ってきていません。結果国内需要は22年以前と比べて縮小したままとなっています。
24年8月末の直近の状況としては、猛暑による産卵率低下や空舎延長事業の影響もあり、需給は引き締まってきています。しかしながら、下半期には需要の回復以上に国内の飼養羽数も右肩上がりに増加することが予想されるため、業界として、引き続き消費拡大を促すと共に需要に見合った生産を維持していくことが重要となっていきます。
テーマ3 鳥インフルエンザ
全農 家畜衛生研究所 クリニック東日本分室 獣医師 三牧 茜 獣医師 土屋 厚人
全農畜産サービス株式会社 施設・素ひな事業部 素ひな営業課 鈴木 康仁
全農畜産サービス株式会社 資材・大家畜事業部 営業課 西岡 真二
鳥インフルエンザについては、全農クリニック東日本分室から昨シーズンの振り返りと、鶏舎に野生動物を侵入させないための取り組みについて、全農畜産サービス㈱から鶏舎への鳥インフルエンザ対策用フィルター設置と音撃カラススナイパーについて紹介しました。
昨シーズンも、農場で鳥インフルエンザが発生し、また野鳥でも鳥インフルエンザウイルスの検出が多数報告され、ますます防疫対策の重要性が高まっています。その中でも、鶏舎内へウイルスを持ち込ませない取り組みは最重要です。鶏舎周りの目視やセンサーカメラを使うことで、今まで気付かなかったリスクの削減を行うことができます。また鶏舎へのフィルター設置や、AIを使ったカラスの撃退など新たな防疫対策の方法も実用化されています(写真1、写真2)。
今回ご紹介した鳥インフルエンザへの取り組み事例は、全農の運営する畜産情報サイトJACCネットにも掲載していますので、ぜひシーズン開始前にご覧ください。
テーマ4 全農グループにおける養鶏技術情報と農場調査等の取り組み
全農 飼料畜産中央研究所 養鶏研究室 轟 佳那子
飼料畜産中央研究所からは、全農が提供する技術情報誌の紹介と農場での取り組みの紹介を行いました。本誌では、これまで多くの優良事例や技術情報を掲載してきました。さらに本年4月からはWEB版もリニューアルしており、過去の情報もキーワード検索で簡単に探せるようになっています。この機会にぜひ、WEB版へアクセスしてみてください。
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