配合飼料安定基金制度について
2025.01
配合飼料安定基金は、生産者と私たちJAグループが積み立てた財源をもとにして、配合飼料価格の大幅な変動が、畜産経営に与える影響を緩和するための制度です。全農がこの制度を作ってから56年が経過しました。直近では令和3年~5年の価格高騰時に高額の補てんを行い激変緩和措置としての大きな役割を果たし、日本の畜産生産基盤を維持するための重要な制度のひとつとなっています。
令和3年から5年にかけて12四半期連続で補てん金が支出されました
補てん財源は、それまでに積み立てた財源のほかに国費や借入金が充てられました。
借入金の返済には積立金の一部を充てています。
基金ご契約1トンあたり2,400円の積立金(うち生産者800円、JAグループ1,600円)のうち、令和6年~10年までは約400円~500円を、令和11年は約100円を返済に充てたのちに、令和11年に返済が完了する見通しです。
補てん財源を確保しながら、無理のない返済を行います。
今後の進め方
現在、国、基金団体、生産者団体が協力して制度の見直しを行っています。全農は現行の安定基金制度は、生産者の経営を支え続けるために重要な制度であり、基本的な骨格は維持すべきであるという立場で意見を表明し、以下の取り組みを進めます。
方針1 多くの補てん財源を確保し、必要に応じて最小限の借入も行い、引き続き満額補てんを目指します。
補てんがない時期が続き、高額の補てん財源がたまると、これまでは積み立てを免除して補てん財源を一定の水準に抑える必要がありました。最近では、令和元年第4四半期~令和2年第4四半期に積立金を免除しております。
しかし、もしこの時期に積立金を免除せずに積み立て続けて、多くの補てん財源を確保していれば、令和4年度、5年度は財源の借入をせずに補てんを行うことができました。
そこで私たちは補てん財源の保有水準の引き上げを求めています。補てんがない時期にこつこつと財源を積み立て、飼料価格の高騰時にはできるだけ借入を行わずに済むようにしたいと考えています。
それでも財源が不足した場合は国と連携して財源の借入を検討しますが、日ごろから多くの補てん財源を積み立てることで、借入を行う可能性は減り、借入を行った場合も返済期間は短く済むと考えております。
全農の安定基金は満額補てんを「一括」して「速やかに」交付してきました。
私たちはこの方針を堅持してまいります。
Q. 借入を一切行わないとどうなるのか?
A. 財源がなくなったのに借入を行わない場合、積み立てたばかりの積立金で補てんするしかありません。
そうなると、飼料価格高騰時に補てん金が不足し、激変緩和の役割が十分に果たせなくなってしまいます。
方針2 補てん単価に上限は設けません。
全農基金は、方針1のとおり補てん財源を十分に確保することを前提に、引き続き補てん単価に上限は設けず、満額補てんを「一括」して「速やかに」交付することを目指します。
方針3 補てん単価の下限の引き上げを検討いたします。
配合飼料単価等の上昇をふまえ、補てん単価の下限を従来の250円から、引き上げることを検討いたします。引き上げによって補てんが見送られた場合、その財源は、次回以降の補てん財源として活用されます。
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