マーケット情勢(全農畜産総合対策部・12月まとめ)

2025.01

各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より

豚肉

 10月の全国豚と畜頭数は、1,458千頭(前年比101.5%)。地域別では、北海道が同105.6%、関東が同103.0%、東海が同106.6%、近畿が同103.7%などとなった。

 10月の輸入通関実績は、豚肉全体で86.8千t(前年比123.6%、前月比110.2%)。内訳は、チルドが34.2千t(同102.0%、同112.9%)、フローズンは52.6千t(同143.3%、同108.6%)となった。国別では、チルドではカナダが増え、フローズンではスペインや米国などが増えた。

 総務省発表の10月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,774g(前年比95.9%)、支出金額が2,850円(同99.6%)となった。

 11月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;11月30日時点)は、570円/kg(同109.8%)と前年を大きく上回った。11月は、残暑や一部地域での疾病発生などの影響で生育不良が目立ち、国内出荷頭数は想定を下回った。需要面では、鍋物需要などが振るわず、中旬まで需給は緩んでいた。気温が低下した下旬からは鍋物需要などの増加で需給がひっ迫した。

 12月は、前年・前月より国内出荷頭数の増加が見込まれるが、鍋物や年末向けの需要などが伸び、需給のひっ迫が想定される。また、暦の関係で年末年始のと畜場の休み期間が例年より長くなるため、年始分の早めの手当てで需要がさらに増えると予想。相場は強含みの見通し。

【令和7年1月の相場予想】※東京市場 上物・税込550円

牛肉

 10月の成牛と畜頭数は、99.5千頭(前年比103.6%)。和牛が48.6千頭(同109.4%)、交雑牛が22.2千頭(同99.3%)、乳牛去勢が10.9千頭(同98.6%)となった。

 10月の輸入通関実績は43.9千t(前年比109.0%、前月比115.1%)。チルドが15.7千t(同93.6%、同102.0%)、フローズンが28.2千t(同120.0%、同124.0%)となった。

 総務省発表の10月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は422g(前年比97.9%)、支出金額が1,631円(同100.6%)となった。

 11月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;11月30日時点)は、和牛去勢A5が2,624円(同99.8%)、A4が2,349円(同105.1%)、交雑去勢B3が1,573円(同103.9%)、乳牛去勢B2が1,119円(同141.5%)。部分肉賞味期限の長期化や加工業者の労働環境改善などで、例年より早く年末向けの商品確保が始まったことから各品種で前月を上回った。

 12月は年末向け手当てが一部完了していることから、和牛A5は横ばいを見込む。和牛A4は一部の量販店で和牛回帰の動きがあることから強含みの見通し。交雑牛は、需要は底堅いものの出荷頭数の増加予想で横ばいを見込む。乳牛去勢は、輸入牛肉の流通価格水準が低下してきているものの、代替による需要が安定しつつあり、横ばいの見通し。

【令和7年1月の相場予想】※東京市場 税込
◎和牛去勢A4:2,200円 ◎交雑去勢B3:1,500円 ◎乳牛去勢B2:1,050円

鶏卵

 10月の餌付け羽数は、全国計で8,349千羽と前年同水準まで回復した。地域別では東日本が前年比100.6%、西日本が同99.2%となった。

 10月の鶏卵の一人当たり家計消費量は902g(同101.2%)と、11カ月連続で前年を上回った。

 11月の東京相場Mサイズ基準値平均は281円/kg(前年比+27円/kg、前月比+6円/kg)となった。供給面では、気温低下で産卵率および個卵重が増加し、小玉が減った。高病原性鳥インフルエンザの発生により供給量が減少した反面、一部の道県では輸出制限の影響で国内向けに出回り、国内の需給に大きな影響はなかった。需要面では、量販筋で相場の上伸に伴った売価変更により発注数量に落ち着きが見られた。業務・加工筋では鳥インフルエンザの発生を見据えた集荷で、スポットでの引き合いがあった。

 今後について、供給面は最需要期に向けた生産量増加が予想され、さらなる気温低下で大玉増加と小玉減少の状況は継続する見通し。需要面において、鳥インフルエンザの発生による供給不安からか、殻付き卵の輸入量が増加傾向にあるが、テーブルエッグの消費増加や、加工筋では集荷の継続が見込まれる。外食筋では需要の高まりが期待される。今後の鶏卵相場は強含みの見通し。

 鳥インフルエンザは12月10日時点で11道県13事例で発生。約147.9万羽(うち採卵鶏は約126万羽)が殺処分の対象となった。昨年度の殺処分羽数を上回り、今後の鶏卵供給への影響が懸念される。

鶏肉

 生産・処理動向調査によると、10月の推計実績は処理羽数64,572千羽(前年比101.7%)、処理重量194.6千t(同101.9%)。前月時点の計画値より処理羽数は前月予測から変更なし、処理重量は0.4%上方修正となった。夏場の種鶏成績の低下はあったものの順調な生産状況だったようだ。

 10月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+13.2千tの62.3千t。国別ではブラジルが前月+10.4千tの43.4千t、タイが+2.6千tの17.9千tとなった。

 10月末時点推定期末在庫では国産32.2千t(前年比108.2%・前月差-1.0千t)、輸入品141.1千t(同107.8%・同+4.6千t)と合計で173.3千t(同107.9%・同+3.6千t)となった。

 11月の月平均相場は、モモ肉690円/kg(前月差+38円)、ムネ肉392円/kg(同+13円)。正肉合計で1,082円/2kgと前月を51円上回り、前年同月を35円上回った。モモ肉相場は月初669円、月末は705円となり(昨年は月初665円、月末678円)、前年の相場を上回った。

 12月の生産量は処理羽数・処理重量が前年を下回る見込みで、種鶏の成績悪化に伴う入雛の遅れが要因と考える。販売は好調で、集荷が難しい場面が直近でも頻発している。消費者の生活防衛意識の高まりから安価な鶏肉に需要が集中することが予想される。輸入鶏肉は過去4カ月(7-10月)の出回り量に対して国内の在庫量が2.6カ月分程度あるが、前年もほぼ同水準であることから極端に増えている訳ではない。国内の堅調な需要から輸入量・在庫量ともに増加していると考える。

 12月のモモ肉相場は上げの月平均730円、ムネ肉相場は月平均400円と予測する。年末に向けて相場は上昇傾向の見通しだ。

【令和7年1月の相場予想】◎モモ肉:740円 ◎ムネ肉:400円

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