マーケット情勢(全農畜産総合対策部・3月まとめ)

2025.04

各畜種の家計消費量・家計消費金額は総務省家計調査より

豚肉

 1月の全国豚と畜頭数は、1,404千頭と前年並みとなった(前年比99.3%)。地域別では、北海道が同106.2%、中四国が同104.5%と大きく伸びた。

 1月の輸入通関実績は、豚肉全体で80.6千t(前年比111.7%、前月比105.2%)。内訳は、チルドが32.1千t(同92.5%、同92.8%)、フローズンは48.5千t(同129.5%、同115.4%)となった。チルドではカナダが増え、フローズンでは主要国全てで増加した。

 総務省発表の1月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,789g(前年比98.1%)、支出金額が2,901円(同101.2%)となった。

 2月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:2月28日時点)は、620円/kg(前年比104.4%)。寒波による生育不良や豚熱の発生等から国内出荷頭数が減少したことに加え、物流の混乱等も重なり供給面が不安定となった。また、輸入豚肉の高値推移からの代替需要や消費者の節約志向等から国産豚肉需要が増加したため、需給がひっ迫し前年・前月を上回った。

 3月は、歓送迎会や花見等による需要増に期待ができるものの、月後半では学校給食の休止や各食肉会社の決算期となり例年並みの需要が見込まれる。一方で、寒さが和らぐことで国内出荷頭数が増加していくことが想定されるため、月平均では弱含みを見込む。

【令和7年4月の相場予想】※東京市場 上物・税込600円

牛肉

 1月の成牛と畜頭数は、86.1千頭(前年比101.1%)となった。和牛が41.6千頭(同105.9%)、交雑牛が20.5千頭(同102.7%)、乳牛去勢が9.1千頭(同89.3%)だった。

 1月の輸入通関実績は、全体で32.6千tと前年を大きく下回った(前年比75.3%、前月比83.0%)。チルドが13.4千t(同78.8%、同83.6%)、フローズンが19.2千t(同73.0%、同82.7%)。フローズンでは、主要国全てで減少した。

 総務省発表の1月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は435g(前年比96.2%)、支出金額が1,633円(同93.2%)となった。

 2月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:2月28日時点)は、和牛去勢A5が2,563円(同99.4%)、A4が2,290円(同101.6%)、交雑去勢B3が1,529円(同99.0%)、乳牛去勢B2が1,109円(同131.2%)であった。量販店の決算セール等による需要喚起は盛り上がりに欠けたものの、和牛は出荷頭数の減少から需給が引き締まり前月を上回った。

 3月は、例年歓送迎会や花見需要等に期待できるが、本年は全国的な寒波の影響や消費者の節約志向の高まり等から需給は均衡する見通し。相場は和牛・交雑牛とも横ばいを見込む。乳牛去勢は、輸入代替需要が継続しているものの限定的であるため横ばいの見通しだ。

【令和7年4月の相場予想】※東京市場 税込
◎和牛去勢A4:2,300円 ◎交雑去勢B3:1,500円 ◎乳牛去勢B2:1,100円

鶏卵

 1月の餌付け羽数は、全国で7,973千羽(前年比107.3%)と9カ月ぶりに前年を上回った。

 1月の鶏卵の一人当たり家計消費量は897g(同99.9%)と、前年をやや下回った。

 2月の東京相場Mサイズ基準値平均は315円/kg(同+125円/kg、前月比+57円/kg)となった。供給面において、高病原性鳥インフルエンザの影響で生産量は低位に推移。需要面において、量販筋では供給不足の影響により引き合いが強い状況が続いている。外食筋では大手ファストフードチェーン店のプロモーションの集荷が始まり、加工筋においても供給不足からかスポット集荷が継続している。

 今シーズンの高病原性鳥インフルエンザは、2月1日以降発生はないものの、14道県51事例、約932万羽(うち採卵鶏は約842万羽)が殺処分の対象となった。

 今後について、供給面は高病原性鳥インフルエンザからの復帰の目処が立っておらず、生産量は継続して不足することが予想される。需要面において、量販筋では引き続き数量制限の動きがあるが、外食筋での大手ファストフードチェーン店のプロモーションは3月中も継続することや、加工筋でも引き続き集荷の動きがみられることから、引き合いが強くなる見通し。以上のことから、需要に対して供給が追い付いていない状況が続くため、今後の鶏卵相場は強含みで推移すると考えられる。

鶏肉

 生産・処理動向調査によると、1月の推計実績は処理羽数61,207千羽(前年比100.6%)、処理重量185.3千t(同100.2%)となった。東北エリアを中心に脚弱や疾病が散見された。

 1月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+2.4千tの52.3千t、国別ではブラジルが前月+3.2千tの37.5千t、タイが-0.8千tの14.1千tとなった。

 1月末時点推定期末在庫では国産26.3千t(前年比84.3%・前月差-3.3千t)、輸入品139.2千t(同110.5%)と合計で165.4千t(同105.3%)となった。

 2月の月平均相場は、モモ肉744円/kg(前月差-1円)・ムネ肉395円/kg(同-8円)。正肉合計で1,139円/2kgと、前月より9円下回ったが、前年同月を88円上回った。生産においては一部産地で脚弱・大腸菌症の発生や寒波の影響による増体不良により出荷調整が発生し、全国的に不調だった。しかし、需要に対して供給量が少なく、相場は伸長したと考える。販売については需要に対して供給が追い付いていないこともあり、積極的に特売が打てる状況ではなかったようだ。

 3月の生産量は生産・処理動向調査によると処理羽数・処理重量が前年をわずかに下回る見込み。全国的に高病原性鳥インフルエンザが多発していることに加え、全国的に大腸菌症等の鶏病が目立つことが影響する。量販店では牛肉→豚肉→鶏肉のシフトが続いており、これは消費者の節約志向の高まりだと考える。今後も消費者の生活防衛意識の高まりから安価な商品へ需要が集中する見通しだ。
 3月のモモ肉相場は月平均735円、ムネ肉相場は月平均390円と予測する。

【令和7年4月の相場予想】 ◎モモ肉:720円 ◎ムネ肉:390円

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