きてみて!うちの学校/広島県立西条農業高等学校

2025.04

西条農業高等学校

祝 第8回和牛甲子園 総合評価部門 最優秀賞

 広島県立西条農業高等学校は、2012年に文部科学省かスーパーサイエンスハイスクールに指定され、探究的な学びができる環境が整備されている。

 広島県内の研究機関や企業との連携が活発で、先進的な学びに積極的に取り組む。

 今回は、第8回和牛甲子園の総合評価部門で最優秀賞を受賞した同校の、取り組みや生徒の和牛にかける想いについて紹介する。

校名
広島県立西条農業高等学校
所在地
広島県東広島市鏡山3-16-1
生徒数
775名(女性318名 男性437名)(2025年2月末時点)
創立
明治41(1908)年
学科
園芸科、畜産科、生活科、農業機械科、緑地土木科、生物工学科、食品科学科

地図
舛宗 新悟(ますむね しんご)先生
失敗を恐れず、数字(データ)で語れる社会人になってほしいです!
内田 汀映(うちだ みう)先生
和牛甲子園の「相手に伝える」プレゼンテーションはとても良かったです!

外部の研究機関と連携 科学的視野を養う

 西条農業高等学校は、官民の学術研究機関の集積や企業の立地も進む広島県中央部の東広島市に位置し、園芸、畜産、生活、農業機械、緑地土木、生物工学、食品科学の7学科をそろえる。

 畜産科では、広島大学や県の畜産技術センターなどの大学や研究機関と連携し、科学研究に興味や関心を持ち、自身の進路に生かしていくことを推進している。

 畜産科の舛宗新悟先生は、「和牛甲子園はチャレンジの場なので、失敗を恐れず挑戦してほしいという思いがあります。そして、常に科学的アプローチを心掛け、数字(データ)で語れる社会人になってほしいです」と話す。

 同科の内田汀映先生も、「相手に自分の考えを伝えることは、今後ますます重要になります。いくら良いものを生産しても、消費者に伝わらなければないのと同じです。和牛甲子園のプレゼンテーションは、とても良い機会になったと思います」と、探究心をもって自主的に学習に取り組めるよう生徒を導いている。

 和牛甲子園には第3回大会から参加している。25年1月の第8回では、取組評価部門で優良賞、枝肉評価部門で優秀賞を獲得。そして、総合評価部門で念願の最優秀賞に輝いた。

広島の地域資源を積極的に活用

 第8回和牛甲子園の取組評価部門で発表した同校のテーマは、「広島和牛に新たな息吹を!~地域と目指すブランド向上~」で、①赤ぬかペレット給与試験、②広島血統再構築、③戻し堆肥の活用―に取り組んだ

地域の資源を活用 人脈を駆使して地域連携

 同校では、短期肥育でも肉質の良い和牛を目指している。赤ぬかは、日本酒製造において酒米を精米した後にできる残さ。オレイン酸が豊富に含まれていることから試験給与を実施した。

 同校が立地する東広島市は日本酒の製造が盛んな土地柄で、赤ぬかの仕入れ先である賀茂鶴酒造は同校から近く、安定的に購入が可能だ。素材の出自がはっきりしているので安心して給餌できるのも魅力で、さらに賀茂鶴酒造には同校のOBも勤めていることから連携もスムーズだった。

 赤ぬかを給与した試験牛を出荷後、専門家の評価も上々で、近隣のスーパーで行った試食イベントでは消費者からも高評価を受けた。分析機関で調べたところ、対照牛に比べてうま味成分であるアミノ酸量が多いことが分かり、生徒も手応えを感じている。

生徒と牛
3人の生徒
生徒
データを記入する生徒

県の研究機関と共同研究

オール広島で挑む 広島和牛復活ののろし

 広島県は和牛発祥地の一つといわれている。1843年に「岩倉蔓」が誕生するも、消費者の嗜好の変化や牛肉の輸入自由化などもあり、1997年には広島血統直系の種雄牛造成を停止した。

 その広島血統を復活させようとしたのが同校だ。県の畜産技術センターと研究に取り組み、広島血統再構築に貢献。新たな種雄牛の名は「神竜粋吹(しんりゅういぶき)」。黒毛和種として正式に登録され、同校の教育レベルの高さがうかがえる成果だ。

 新しい取り組みにも積極的で、昨今の資材価格の高騰もあり、戻し堆肥の活用に挑戦した。発酵させた堆肥を活用することで、年間の敷料費を約51万円削減することに成功。今後は、県で大量に廃棄されるカキ殻と戻し堆肥をかけ合わせて、安全性の向上を目指す。後輩が研究を継続する予定で、先輩の想いが受け継がれる。こうして同校は、高い教育レベルを維持していく。

データ重視で育てて
もらっていま~す
生徒と牛
生徒と牛
生徒と牛
生徒と牛
川岡 春菜(かわおか はるな)さん(左)
遠藤 雪鈴(えんどう ゆず)さん(右)

川岡 春菜(かわおか はるな)さん(左)
愛を注いだ分だけ牛も応えてくれる。先生が言うことに間違いはありませんでした!継続は力なり

遠藤 雪鈴(えんどう ゆず)さん(右)
ふ化させた鶏を育てて解剖、そしていただく。
精神的にこたえましたが、命の大切さを学びました

内城 粋咲(うちじょう いさき)さん(左)
内城 心粋(うちじょう こいき)さん(右)

内城 粋咲(うちじょう いさき)さん(左)
広島血統再構築の種雄牛「神竜粋吹」は私が担当しました。畜産技術センターの研究員を目指します!

内城 心粋(うちじょう こいき)さん(右)
尊敬する先生のように私も教員を目指し、畜産業を盛り上げます。
本当にお世話になりました!

第8回和牛甲子園

総合評価部門 最優秀賞 受賞おめでとう!(取組評価部門・優良賞、枝肉評価部門・優秀賞)
取組評価部門の発表
畜産科の取り組みを、4人が代表して発表してくれました~

オール広島 地域との連携

オール広島 地域との連携

上記の他に多くの企業、研究機関、団体のサポートを受けている

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